あらすじ
目が覚めるとベッドに見知らぬ裸の男たちが!? そう、誰かがプレイ中の逆ハーレムゲーム内の悪女に乗り移ってしまったのだ! 不思議なことに、ゲームのプレイヤーの選択肢と選択内容を盗み見ることができてしまう。 そして、ゲームの主人公であるユリエルが、悪女キャラである自分の愛人たちと親密になり、最終的に自分を殺すつもりであることを知ってしまう… 果たして死を免れ、ゲームの中から無事に脱出することができるの!?
(本文)
ユリエルは一人、皇城の中にある部屋にいた。
「この縁起の悪い雨は一体いつまで降るのよ!私がやっと皇女になった日なのに、天気ぐらいは気を使ってくれなきゃ。 それにこの部屋、もっと大きくて華やかだったらよかったのに。 私のことを気遣うふりをして···。」
その時、ユリエルの目の前にウィンドウが現れた。
【身分を更新しました。】
『「疑問の第2皇女」を獲得します。
これによりクエストが一部変わります。
「ユリエル・ドラビュー・セシリア」特殊ルートが「ロック」状態になります。』
「やっぱりこのルートはもう使えないのかな? しかし今回の事件で皇帝との『偶然な出会い』の回数も2に上がった。TIPは···「ロック」状態から抜け出す方法を探せって?」
するとまた新しいウィンドウが現れる。
『 特殊なルートを2つ以上並行すると
「バッドエンディング」に近づきます。
特殊ルート「アルケン・ドミナート」を続行しますか?
YES――NO 』
(また?なに…。特殊ルート?しかもバッドエンディング?NO、絶対NOだよ。 あんな奴のために危険を甘受するはずがないじゃない。ドミナート公爵家の唯一の血縁だから、もっと役に立つと思ったら…皇女に回生の機会を与えて。 それに、ロビアはそうだとしても…はぁ、私の周りにはどうしてみんな役立たずの奴らばかりなの?! )
「うん、いいわ。」
(利用できる男たちはまた作る。 私はもうこの国の皇女だから!これから欲しいものは、なんでも。)
ユリエルは窓の外を見つめ、黒い笑みを浮かべた。
すると後ろに先程と同じウィンドウが現れた。
『 特殊なルートを2つ以上並行すると
「バッドエンディング」に近づきます。
特殊ルート「アルケン・ドミナート」を続行しますか?
YES 』
「さっき明らかに「NO」を選択したんだけど···?」
ウィンドウには「YES」の選択肢しか残されていなかった。
ーーー・・・
「ここにいらっしゃったのですね、姫様。」
「ヘス?」
「今回もこうやって···あなたは無事ですね。でも、そうだと思いました。 あの女性がやり遂げられないと既に分かっていました。」
「ヘス…?」
「私に嘘をついたということも。 そうしてふと、こんな思い浮かびました。」
そう言うとヘスは、後ろに隠していたナイフをリアに突きつけた。
「今までそうしてきたように。 どうせ誰も私たちを助けてくれないのに。 でも、私がここにずっといてもしょうがない。だから、ただ今すぐ、私の手であなたを···ああ!!」
ヘスはひどく乱れており、リアはなんの事を言っているのか全く分からなかった。
そしてヘスがリアを刺そうとした、その時。
「!!!」
シガーがヘスの腕を掴み、阻止した。
そしていつの間にかエクロットもリアを守るように前に立っていた。
「エクロット!」
そしてエクロットは剣を抜き、言った。
「すみません、姫様。姫様の命令を守るために目立たないようにしていたのですが、結局命を破ってしまいました。 まず、姫様にナイフを突きつけた罪人から処分し、それから私も罰を甘んじて受けます。」
ヘスは腕を掴むシガーを見つめた。
シガーもヘスを無言で見つめている。
やがてヘスは諦めたように言った。
「ああぁ……。姫様…いや、あなた。 あなたと一緒に地獄へ行きたかったのに…。」
そう言うとヘスは自分の胸にナイフを突き刺し、倒れた。
「ヘス!!!」
騒動に気づき、騎士がやってきた。
「姫様!エクロット様!! 大丈夫ですか!!」
ヘスは涙を流しながらリアをしっかりと睨みつけ、言った。
「助けて···ください。 お願いだから···誰か···。なぜ、あなたは·······過ちを犯しても罰を受けないのか…?」
(一体誰に罪を問わなければならないの。)
ーーー・・・
「たった今から日が昇るまで、姫様の宮には誰も入れないように警備を強化せよ。」
「分かりました、エクロット様。 ところであの···夕方からずっと姫様に会うために待っていたあの方はどうしましょうか?」
「……通せ。」
リアは部屋の机に座り考えていた。
(私は今まで皇女の過去の過ちを治めようとしていた。 皇女が駄目にしたものを直して、使えるおもちゃではなく人だということを知りながらも。
沸き立つ憎悪が向かう対象がもはやそのような人ではないという時、憎悪する対象がこれ以上憎悪した姿さえ表わさない時。
私ではない他の誰かには良い人だという事実を知った時。
その時、込み上げる怒りが皇女によって苦痛を受けた彼らを再び壊した。
私がヘスを壊してしまった。
もし彼らのことを本当に思うなら、過去の皇女の過ちをすべて認めて没落するべきだった。)
「姫様。」
「……ナドリカ。」
いつの間にかナドリカがリアの目の前にいた。
「今日誕生日パーティーであった事は私も聞きました。 明日公開的な処罰があるという話も。」
「ナドリカ、私は···麻薬も、奴隷たちにしたことも…。」
「全部···リアがしたことじゃないですよ。必要であれば私が証言します···! 私はいつも姫様の遊びに一緒にいましたから。」
「私がそんなことなかったと、証言して···。」
リアはそう言うとナドリカの頬に手を当てキスをした。
ナドリカもそれに応え、キスをし返した。
しばらくして、リアが言った。
「···ナドリカ、私…言わなければならないことがあるの。」
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