アラサーOL、マンガを翻訳する

悪役の救い手(韓国漫画)にどハマりした、アラサーOLによるネタバレ・翻訳ブログです。

【ネタバレ・翻訳】 「悪女は2度生きる」 123話

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引用:

悪女は2度生きる

あらすじ

謀略の天才、皇帝を作り上げる! ”お兄様が成功すれば、お前も成功するのよ” それを信じ、あらゆる悪事を企てた悪女「アルティゼア」。 しかし、彼女の兄への忠誠は裏切りとして返ってくる。 死を前にした彼女に手を差し伸べたのは宿敵であり、正義ある大公「セドリック」だけだった。 魔術で命と引き換えに18歳の自分に生まれ変わった彼女は、「セドリック」を皇帝にするために新たな人生を捧げることにするがーー

本文

「頼みごとがあって参りました。皇帝陛下。・・・いえ、母方の伯父さん。」

ひざまずくセドリックに冷たい視線を向ける皇帝。

「・・・。お前がわしをそう呼ぶのは初めてだな。」
「恐縮です」
「何か心境の変化でもあったのか?」
「今までは私の体に流れる血の半分が、皇室の血だということを忘れようとしていました。母方の伯父さんを恨んだのも事実であり、恐れていたのも事実です。それ以上に、私の家門、私の領地を安全に守りたかったのです。」
「そうだったのか。」
「もうそうしないつもりです。今日私の妻が司祭による尋問で気絶しました。」
「自発的に調査に協力したと聞いたが・・・。言い訳のようだが、そこまでする必要はないと言い聞かせていたんだが。
「はい、そこまではわかります。」
「というと?」
「侍女の話では、私の妻を修道士が使う険しい山小屋に泊まらせ、冷たい祈祷室で懺悔するよう強要されたようです。」
「ティアがそれを我慢していたら、それだけの理由があったのだろう。」

皇帝のその答えにセドリックは一層表情を曇らせる。

「理由があって我慢したのだとしても、私の妻が不当に罪人扱いされたという事実に変わりはありません。」
「君はティアが本当に外に出られなかったと信じているのか?」
「私の目で直接見ました。私の妻は祈祷室の冷たい石の床に倒れて、昏睡したまま一時間近く放置されていました。それで侍女が信号弾を発射して、騎士団を呼んだのです。」

セドリックは続ける。

「神官は騎士団が面会することを拒否し、数で防ごうとしました。それでたった一人の侍女がついて行きました。体も弱い人です。強硬な力で立ちはだかられたら、抜けられるはずがありません。」

皇帝は逡巡している。

「セドリック・・・。」
「もし私が首都に早く到着しなかったら、何が起こったかわかりません。神官は私の騎士達を防いでいる間に気絶している私の妻を内密に他の所へ移そうとしていました。」

セドリックは悲痛そうに続けた。

「さらに・・・私の妻は今妊娠中です。」

その言葉に皇帝は驚く。

「!!!・・・そうだったのか。ティアが・・・。おめでとうと言わなければいけないが、今はそんな状況じゃなさそうだ。問題はないのか?倒れたと・・・。」
「幸い、赤ちゃんは無事です。」

(今になって分かった。私を母方の伯父と呼んだ理由を・・・。)

皇帝はセドリックの意図に気付き、にやりと笑った。

「セドリック。アキム司祭を”逆謀罪"で処罰したいのか?」
「はい。私は母方の伯父さんの甥です。例え傍系であっても、体に流れる血の半分は皇室のものであり、私もまた皇族です。ならば、私の妻と子供も皇族です。」

皇帝は笑いをこらえきれなかった。

(見ているか、レオブリック・エブロン。無実の罪でお前が首を切られた時も、お前は決して屈服しなかった。ひたすら正しいと思うやり方で行動し、心では皇女を完全なる主君とし、また仕えるべきレディーとして妻を抱いた。さて、お前の息子は今どうだ?妻子の安全と未来、そして復讐の為に・・・親の恨みも、エブロンが受けた不当な処遇も忘れて、私の前にひざまずくことを選んだ。高潔な皇女の騎士よ。君とそっくりだった君の子供も、結局は私と同じ血を持っていた。私と同じ世の中を生きている。)

皇帝はうすら笑いながらセドリックに言った。

「お前の意図はわかった。もちろんお前は私の甥だ。お前の子供は従孫だ。もし流産にでもなったらどうするつもりだったのか。司祭はどうしてやろうか?」
「妻を拉致して証拠を隠滅し、私がこの状況に介入できないようにした者がいます。アキム司祭の指示を受けたものだと推測されます。」
「ふむ・・・。」
「信頼できる近衛騎士二人を尋問に証人として同席させてください。司祭からの尋問の公正性に疑問を提起できないようにしたいです。」
「分かった。」
「そして、ローサン侯爵夫人の仕事も私に任せてください。。」

セドリックのその発言に皇帝はぴくりと眉を動かした。

「陛下が不安に思うのは理解できます。私が彼女を好きではないのも事実です。でも妻の母で、生まれる子供の母方の祖母です。心配されるようなことまでは起こらないようにします。」

その答えに皇帝はため息をした。

「分かった。お前は人望があるからうまくやり遂げるだろう。君に全面的に任せよう。」
「ありがとうございます。」
「早く君の妻の所に行ってあげなさい。やるべきことも多いから、一刻を争うだろう。」

皇帝はにこやかに言い、セドリックは一礼しその場を去った。
そしてすぐに執事を呼びつける。

「アキムは欲深い者ではあるが、一人でこんなことをする度胸はないだろう。背後にいる者を突き止めるんだ。」


―――・・・


セドリックは帰るため、皇室の廊下を歩いていると、前からローレンスが歩いてきた。
そしてすれ違いざま、小さく「ローレンス」と呟きそのまま通り過ぎた。
セドリックは復讐に燃えた目で皇室を後にした。



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