あらすじ
目が覚めるとベッドに見知らぬ裸の男たちが!? そう、誰かがプレイ中の逆ハーレムゲーム内の悪女に乗り移ってしまったのだ! 不思議なことに、ゲームのプレイヤーの選択肢と選択内容を盗み見ることができてしまう。 そして、ゲームの主人公であるユリエルが、悪女キャラである自分の愛人たちと親密になり、最終的に自分を殺すつもりであることを知ってしまう… 果たして死を免れ、ゲームの中から無事に脱出することができるの!?
本文
ドミナート・アルケンは必死に陛下に訴える。
「あれは嘘の内容です!皇女の愛人が私を陥れるために···! 私はこれに関する告発を、皇女と取り引きした奴隷商から確かに聞きました!証拠も明らかに···!!」
それを聞いたエクロットが剣を抜こうとする。
「偽りの証言で皇家を侮辱した罪、命により···」
「やめなさい、エクロット。」
(ただ皇室内の問題なら皇帝や私で静かに覆うことができた。 しかし、各国の使臣と錚々たる貴族が一堂に会した皇女の誕生日の宴会なら?ユリエルはもう一人の新しい皇女としての私の存在感を如実に示す時を狙ったのだろう。 すべて理解したわ。)
「ロビアを今すぐ連れて行って治療しなさい。どんなことがあっても彼を生かすように。」
「最善を尽くします、姫様。」
リアはそう言うと、エッセンの方を向いた。
「……彼はここにまっすぐ来ることを望んでいた。」
「ロビアを助けたの?」
「何か問題があるのか。」
(エッセンがなぜ? それなら当然······ユリエルもそう思うだろうね。)
ユリエルは味方だと思っていたエッセンの行動に怒りを覚えフルフルと震えている。
そしてリアはユリエルとアルケンに向かい、言った。
「ドミナート・アルケン。お前は騙されたと言ったが、つまらない者の言葉だけを信じて皇家の名誉を汚そうとしたのだから、必ず代価を払わなければならない。
そしてユリエルは現在、身分が明らかになったとしても、私が宮人として連れている間、皇家の法を破って私の愛人と姦通した。」
ユリエルは歯を食いしばって怒りを抑えている。
リアは続けた。
「それでも慈悲を施したが、また他の愛人に近づき、宮殿から追い出された罪人の身分で私に対する告発をした。
陛下、各国の使臣たちの前でこの国の皇女の地位をかけて、私の威名を汚すことは許されません。
さらに帝国の尊厳を堅固にするために、私の潔白を明らかにする場を要請します。」
ーーー・・・
「ロビアの具合はどう?」
「幸いに命に大きな支障はなさそうです。 もちろんまだ危険な状態なので、安静にしていなければなりませんが、一息ついてもいいでしょう。」
リアはロビアが眠っているベッドの横でロビアを見守っていた。そしてロビアの前髪をかき分けてあげた。
(決戦まで私に残った時間は一日もないのに···パーティーが終わった後、あなたに会いに行こうと思ったと言ったら、あなたはどんな表情をしただろう…。)
エクロットが部屋に入ったきた。
「姫様。」
「どうなった?」
「ドミナート・アルケンは取りあえず明日まで本丸に拘禁されました。 ユリエルという女は、宴会場での事件とは別に陛下が皇城内の部屋を与えてくださったようです、」
「ロビアが言った証人は?」
「宴会場内の混乱に乗じて先に動いた者がいたようです。唯一生き残った証人だという奴隷商の主人が、『これはすべてドミナート家への忠誠心で、一人で行った事だ。』という自筆の遺書を残して、自ら命を絶ったそうです。」
(宴会で見せたドミナート・アルケンの皇女に向けたその憎しみと、人々の話だけを考えても二人の関係は十分予想がつく。 皇女とアルケンの私的な不和を言い訳に、しっぽ切りをするつもりで、さっそく手を出したのだろう。本当にお粗末な計画だったのに、それでもロビアはあんなに···。)
「少し一人になりたい。」
「しかし…。」
「遠くに行かないから。」
「…分かりました。」
ーーー・・・
リアは屋内庭園に行くため廊下を歩いていた。
(今日だけで大勢の人が死んだ。運が悪かったらロビアまで死んだかも知れない。
私は···皇女になってから、この世界で生きる術を学び、慣れたと思った。 私が皇女としての役割をしていると。 本当にそうだったかな?
それなら、今日私はなぜ何も防げなかったのか。 責任を取るべき者たちは、手の中の砂粒のように抜け出し、彼らのために手を血まみれにし、自分の血を振りまいた。
じゃあ…この皇城に染み込んだ血生臭いにおいは、一体誰に罪を問わなければならないというのか…。)
リアは扉を開け屋内庭園の中に入ると、目の前にヘスがいた。
そしてかすかに笑って言った。
「···ここにいらっしゃったのですね、姫様。」
ーーー・・・
廊下でメイド達がさっそく今日の噂話をしていた。
「二番目の皇女が現れたんだって? しかもエルドリア皇女は麻薬に死体を···」
「言葉に気をつけて! それは濡れ衣かもしれないって明日の午前に貴族会議を…。あっ!」
「なんだ?いつも悪口ばかり言ってるな。」
「「失礼しました!!」」
シガーはやれやれと言った顔でその場を去った。
(俺が皇女の横で寝転んだからといって、 彼女の肩を持つと思うのか?そんな狂った女、どうでもいいのに。 それなのに俺はなぜしきりに…。)
「!」
シガーは何かを見つけたようだ。
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