引用:
姉が男主人公を拾ってきた
あらすじ
エイミーが16歳になる日の朝、姉が男の子を拾ってきた! この展開、まさに前世で読んだ小説のワンシーン… 記憶喪失のこの「男の子」こそ、古代の魔法にかかった主人公のリノク! 小説ではリノクの名付け親となった姉が殺される運命になったので、代わりにエイミーが「ノクス」と名付ける。 そこから、昼は天使のような子供の姿、でも夜は大人の男になる「ノクス」とのドキドキの生活が始まって…
(本文)
「エイミーが私の隣にいるなんて···とても気持ちのいい夜だな。」
(ダメ、しっかりしろ! 虎の穴に入らずんばなんとかと言うでしょ!)
「大公様……? 私たち、もうそろそろ起きましょうか…? 」
「なぜ? 君が誘惑してほしいと言ったんだ。賭けの内容がそうではなかったのか?」
「あ···あ、いや、いや! さあ、ちょっと···。」
「エイミー、お前は···俺の身体が好きじゃないか、うん? 」
ノクスはそう言いながら、ゆっくりとシャツをはだけさせていく。
「!!あ、それは···!! なにするんですか···?!!」
「違うのか?」
「あ、その、いや…。」
エイミーはノクスから離れようと一生懸命もがく。
(ああもう!!筋肉が完全にいかれた〜〜!!)
誘惑に負けつつも、気合いでリノクのシャツを上まで閉めてあげるエイミー。
「服をよく着てください!」
「···俺に服を着せてくれたのはお前が初めてだ。」
「あなたの…初めて…。」
「なんだって?」
「いえ、私は何も言ってません。大公様。」
「エイミー、知ってるか?俺を「大公様」と呼ぶのもお前が初めてだ。」
「じゃあ、みんな何て呼ぶんですか···?」
「大公殿下、あるいは大公閣下と呼ぶ。 それでもなければ···ご主人様とも呼ばれるな。」
「···まさかそうやって呼べってことですか?」
「言ったら呼んでくれるのか?」
「いいえ、絶対に言いません。 とにかく!私はもう 自分の部屋に帰ります。」
エイミーがそう言うと、リノクは切なそうな声で言った。
「エイミー···俺から離れるな。 俺は昨日の夜から一日中お前に会うのを待っていた。誘惑はどこまで許されるの?どこからどこまで?うん?エイミー…。」
リノクはエイミーにキスしようとする。
「く···唇は···ダメです…。」
「それじゃあお前が決めてくれる範囲で誘惑しよう。」
「そのまま私に手を触れないのはどうですか。」
「それはだめだ。俺を干からびさせるつもりか?」
「!!!」
リノクの熱い視線に、エイミーは思わず顔を手で覆った。
「隠さないで。きれいな顔が見えない。」
「大公様、豆の殻の色を知ってますか?」
「いや、知らないといけないのか?」
「そうではありませんが···今、大公様の目に豆が入ったみたいです。きれいなのは何か、視力が悪くなってちゃんと見えないようですね。」
「···でもエイミー。お前を好きになる前も、好きになった後も、俺にはお前が一番美しい人だ。 お前は今も、俺にとっては世界で一番美しい。」
「・・・。」
照れて顔が真っ赤になっているエイミーを見てノクスはクスッと笑って言った。
「誘惑に同意したのはお前だ、エイミー。だから私は与えられた時間で最善を尽くさなければならないんだ。」
(私はその時、頭の中でサイレンが鳴るのを聞いた。 それはこのすごい誘惑に耐えるのが 思ったより難しそうだという、私の心の中の警告だった。)
(どうにか唇は守ったが···私···これから本当に大丈夫なのかな?)
ーーー・・・
次の日の朝。
「エイミー!エイミー···どうしたの? 眠れなかったの?」
「うん。寝そびれちゃった。」
「なんで…?」
「いじめられて…かな。」
「誰が?!誰がエイミーをいじめたの?」
(あなた!!!!···あなたですよ…。)
幼いノクスに罪は無いため、エイミーは心の中でそう叫んだ。
「何でもないよ。 誰かが追いかけてくる夢を見たんだよ。」
「夢では僕がエイミーを守れないんだ···。あのね、エイミーの夢の中に僕が入れたらいいのに…。」
「入りたいの?」
「うん、入る! どうすれば入れるの?」
「う〜ん。私がノクスの事をたくさん考えていたら、夢に出てこないかな? 」
「じゃあ、僕のことたくさん考えてね。 エイミー!」
「そうだね。一生懸命考えるよ。」
「ご飯を食べる時も? 寝る時も?本を読む時も?」
「うん、もちろん。」
「閣下を誘わないでいただけますか。」
急にエイミーの部屋にロッテが現れた。
「うわ!!びっくりした!!」
「幼い閣下は絶対にだめです。 絶対に。」
「何言ってるんですか? 誘ってないですよ!」
「今日は、お屋敷の他の人を紹介しようと思いますので、一緒に行きましょう。」
「他の人だなんて···誰のことですか?」
「それは行けば分かります。」
ーーー・・・
ロッテとエイミー、ノクスは、ある部屋の扉の前に立った。
「ご紹介するのは、このお屋敷で重要な役割を担う人で···この部屋の中にいます。 この部屋には魔法がかかっていて、中からノックの音が聞こえません。呼び鈴を押してみますか?」
扉の中央には青い宝石のようなものが埋め込まれていた。
「あ、これは···。」
「実はこれは魔力を持った者だけが押せる·······」
ロッテの説明を聞きながらエイミーが
その宝石に触れると、急に扉が開き、中からベイカーが出てきた。
「ん?誰が呼び鈴を押したのかと思ったら··· あぁ、ご主人様! それからお嬢様まで?」
扉を開けたエイミーを見て、ロッテが唖然としている。
「···まさか、魔法を使いました?」
「ええ!??」
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