引用:
姉が男主人公を拾ってきた
あらすじ
エイミーが16歳になる日の朝、姉が男の子を拾ってきた! この展開、まさに前世で読んだ小説のワンシーン… 記憶喪失のこの「男の子」こそ、古代の魔法にかかった主人公のリノク! 小説ではリノクの名付け親となった姉が殺される運命になったので、代わりにエイミーが「ノクス」と名付ける。 そこから、昼は天使のような子供の姿、でも夜は大人の男になる「ノクス」とのドキドキの生活が始まって…
本文
「あなたは…!」
(ダメだ。帰らないと···!)
タンシズがエイミーに触れる寸前で、辺りが光に包まれ、エイミーは元の場所に戻っていた。
「戻った…。」
(これ、今すぐベイカーさんに持っていかなきゃ!!)
ーーー・・・
「前に大公様が鏡を1つ調査するように命じませんでしたか?」
「その皇室の物か? 調べてみたが別に変わった点はなかったよ。それでそのまま処分することにしたんだ。これもまた、それほど変わったところは見えないけど…。」
(ベイカーもタンシズに劣らない大魔法使いだけど、何も見つけられなかったのね。)
「ああ、あまり心配しないで。 大したものではないだろう。 それより、「大したこと」は今幼い大公様と一緒にいると聞いていますが…。」
「はい、名前もあります。 シロです。」
「ペンリルの子がいるんだって?! もう連帯感をたくさん積んだようだな!」
「いや、ただ名前をつけてあげただけです。」
「そうか、「ペンリル」に名前を付けたのか。」
「……?」
「魔法獣は誰かに簡単に名前をもらう存在じゃないんだ!うまく連帯感を持たせたら、ペンリルがお嬢様に協力することもできるので、頑張ってみてください。」
「協力?」
「ペンリルは巨大な魔力を持っているじゃないですか。初代大公がこのペンリルに魔力を授かったように、お嬢様に魔力を貸すこともできるという話です!そうなれば想像もできなかった魔法を使えるかもしれない。 もしかして知ってるかな? 大魔法使いにでもなれるのかな??」
(私が大魔法使いになれるかも···?)
「驚くべきことだね。 こんな才能にペンリルの好感まで買うなんて…。これはきっと…」
「ちょっと。魔法の天才だと仰天するつもりならやめてください。」
「おっと、お嬢様は勘がいいですね!」
(…本当にずうずうしいのよね。 暇さえあれば魔法使いになれと営業しすぎ…。)
「とにかく!大したことないとおっしゃるので、私はもう帰りますね。 おっしゃったように、 ペンリルと幼い大公様が私を待っているんです。」
「はは。じゃ、またね、お嬢様!」
「ではまた。ベイカーさん。」
ーーー・・・
エイミーはベイカーの部屋を出てから考え事をしながら歩いていた。
(「自らを認めて、その後はただ望む」か。
後は、私が本当に望むこと….。)
エイミーは急に走り出し、ノクスがいる部屋に向かった。
「ノクス!!」
「エイミー?」
「ノクス、シロ、今から外に出よう! ノクスに見せたいものがあるの。」
「エイミー、僕たちどこに行くの?」
「ノクス、私が住んでいた所には、いい子にだけプレゼントをあげるおじいさんが一人いるのよ。でもここにはそのおじいさんがいないようだから、私がやってみようかと思って。」
エイミーに連れられ、ノクスとシロは庭に出た。
そしてエイミーはシロを抱え言った。
「シロ、私をちょっと手伝ってくれる?」
そしてエイミーが目を瞑り願うと、辺りに雪が降り始めた。
「雪だよ、ノクス。これはいい子に生きて来たノクスにあげる贈り物よ。 雪が降るのを見たがってたじゃない。」
ノクスは突然雪が降ってきたのを見て初めはびっくりしていたが、エイミーの言葉を聞いてにっこりと笑った。
エイミーはノクスの笑顔を見てほっとした。
(別れの挨拶一つできずに去った時を思い出したの。ノクス、私があなたに悲しい記憶だけ作ってしまった。嬉しい記憶の一つくらいは必ず作ってあげようと思ったの。
あの時のように悲しく泣くのではなく、今のようににっこり笑ってくれることを願っていた。私が本当に望むのは···ノクスの幸せだよ。)
「エイミー、僕はエイミーが…家族だったらいいな。それでエイミーにはずっと僕のそばにいてほしい。」
エイミーは大人のノクスからも同じようなことを言われた時のことを思い出し、俯き辛そうな顔をした。
「ノクス、私は…。」
その時エイミーの腕の中にいたシロが急に苦しみだし、唸り声を上げ始めた。
「シロ!?」
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