引用:
姉が男主人公を拾ってきた
あらすじ
エイミーが16歳になる日の朝、姉が男の子を拾ってきた! この展開、まさに前世で読んだ小説のワンシーン… 記憶喪失のこの「男の子」こそ、古代の魔法にかかった主人公のリノク! 小説ではリノクの名付け親となった姉が殺される運命になったので、代わりにエイミーが「ノクス」と名付ける。 そこから、昼は天使のような子供の姿、でも夜は大人の男になる「ノクス」とのドキドキの生活が始まって…
本文
「今何か聞き間違えた気がするが···。」
「いえ、大公様の聴力は正常です。私も脱ぐと言いました。」
するとエイミーは服を脱ぎ始めた。
次々と上着を脱いでいくと、リノクが慌てて止めに入った。
「エイミー、もう···。服を着て寝る。 だからお願いだ···お前の言う通りにするから···お願いだから···やめてくれ。お前がそうすれば俺は何をするか分からない。」
ノクスは服を脱ぐエイミーの手を掴みながら、顔を真っ赤にして言った。
(あっ···! 一体どうして恥ずかしがってるの?しかも手がこんなに熱い···!! 早く姿勢から変えないと···!)
今更ながらリノクを押し倒しているという状況に慌て始めた。
「あ、分かりました!服を脱がないから、この手を離し···。」
(あれ?今何か硬いものを触ったような。……………きゃあああ!!!!)
二人とも石のように固まり、慌ててベッドの端と端に離れた。
気まずい空気が流れる。
(うわーー!もう!話題を変えよう! この気まずい雰囲気を無くさないとね!!)
「あの!大公様!今日の昼に幼い大公様と一緒に『初代大公とオオカミ』という本を読みました。」
「ペンリルに興味があったのか?」
「はい、ペンリルの他にも初代大公とペンリルの関係も気になったんです。ペンリルと初代大公は、「濃い育児」につながった間柄でした。 その本ではペンリルがまたやって来ると書いてあったんですが。…………それが今日じゃないですか?!今日、ペンリルが来ることをご存知でしたか?!」
「ああ。でも、ペンリルが来ようが来まいが、俺とは関係ないことだ。 逢う必要が無い。」
(確かに···ペンリルに魔力を渡されながら暴走という危険も抱えるようになったのだから良い感情があるはずがないわよね···。)
エイミーは少し可哀想に思いリノクを見つめる。
「………。なんでそんなに見つめるんだ? 俺がかわいそうなのか?」
「いや、それは…。」
「かわいそうだと思うなら俺の手を取ってくれ、エイミー。」
リノクはベッドの反対側にいるエイミーに手を差し出した。
「手だけ握って寝る。 それは許可していただけますか?」
「じゃあ···手を握って寝るだけですよ。」
「ああ。お前の手先は少し荒っぽいな。」
「森で暮らしたので穏やかではないです。」
「柔らかくなければならないという意味ではない。 柔らかくても、あるいはもっと荒くてもよかっただろう。お前がどんな姿であれ構わない。私はお前がいれば何でもいいから。」
リノクはそういうと、愛おしそうにエイミーの指先にキスをした。
(あの夜、私は認めるしかなかった。無条件の愛情を込めた彼の深い視線と、私がいれば何でもいいと言うその低くて濁った声から、これ以上抜け出せないということを···。そして彼の大きな熱望を込めた視線は、まるで夢の中まで私を追いかけてくるような気分だった…。)
ーーー・・・
その日の深夜。
エイミーは何者かに起こされた。
「···もう! エイミー! そのきれいな目を開けて!」
「誰……………お姉さん!?!?」
エイミーは騒ぎを起こさないように声を潜めて言った。
「なんで···!ここには一体どうやって 入ってきたの!?」
「エイミー、とにかく着いてきて。」
「ちょっと待って!お姉さん!」
エイミーが止める前に、姉はいきなり窓から飛び降りた。
「お姉さん、大丈夫なの?…… あっ···!!」
焦って窓の手すりから乗り出したエイミーは、バランスを崩し姉を追うように落ちてしまう。
(だめ!!……………あれ?ふわふわ?)
するとどこからか声が聞こえた。
『預言者よ。君と対話がしたかった。』
なんとエイミーの目の前に、真っ白な大きいオオカミが現れたのだ。
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