引用:
お父さん、私この結婚イヤです!
あらすじ
皆に嫌われる悪女「ジュベリアン」。 愛した恋人からも、たった一人の家族であるお父さんにも捨てられ、寂しく死んでしまった悪役…。 そんなジュベリアンに生まれ変わったって? こうなった以上仕方ない。 お父さんのお金を思う存分使って、派手なお嬢さんライフを送ろうとしていたのに、 サイコパスな皇太子が私の結婚相手だなんて! それなら方法はたった一つ、契約恋愛だけ。 その相手はお父さんの教え子がいいだろうと結論を出した。 その男が皇太子であることも知らずに…。
本文
(···初めはそうだ···恐ろしい目的を持って接近したのが事実だ。しかし、彼女と一緒にいると安心できるし、彼女の前では強がらなくてもいい。
『あなたが弱いとは思いません。 私の好みだから心配しましたが、口に合ってよかったです。』
ジュベリアンとお茶を飲んだ時の事を思い出す。彼女と一緒の時は嫌な事も我慢できる。 彼女に何回も屈しても平気だった。ひょっとして、彼女が立ち去るのではないかと怖かったから。 そうか···。俺はジュベリアンを···愛しているんだ。)
一方レジスは絶望したような顔をしてマクスを睨みつけている。
(今私が聞き間違えたのか…?愛?ジュベリアンを心から愛してるって?お前が??)
「師匠、そんな目で見ても俺の心は変わりません。 ちょっと寂しいですね。 俺は悪魔でもないのに。」
「合っているではないか。私の娘を盗んだ悪魔だ!」
「彼女と別れるつもりは毛頭ありません。 俺が申し上げるのはそれだけです。」
そう言うとマクスはレジスを置いてその場を去った。
(信じられない···。 あいつが本気だって?)
ーーー・・・
ジュベリアンは自室で読書をしていた。
(二人とも、今頃よくお話してるよね?お父さんが交際を許してから···マクスと全然話してないから心配したけど…。意図した訳では無いけど、三人で一緒に食事してよかった。行き交う目つきがすごかった気がするけど。 契約恋愛が順調に維持さえできれば···。)
その時コンコンという音が聞こえたのでふと窓に目をやった。そこにはじーっと窓に張り付いているマクスがいて、ジュベリアンは情けない悲鳴をあげた。
「マクス!?」
(また窓から来た···でも今日はノックをしただけ素晴らしい発展ね。)
「うん?何かあったんですか? 顔が赤い…熱あるようです。 大丈夫ですか?マクス。」
ジュベリアンはマクスの頬を両手で包んで、心配そうに見つめた。
そんなジュベリアンにマクスは嬉しそうに笑う。
「やっと分かった。」
(俺の暗い世界が、どうしてこんなに美しい光に染まったのか。)
ジュベリアンはマクスの言葉に頭をかしげる。
「本当に主治医を呼ばなくても大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。」
二人はソファに移動し、横並びで座った。マクスはジュベリアンの顔をじーっと見ている。
(…………。????今日に限ってどうしてこんなに近くに座ったの?)
「あ、お父さんと何の話をしましたか。」
「ああ、師匠が俺たちの仲を疑っていたよ。」
(えええええ!!!私があんなに優しくしてあげたのに!!!)
「俺たちが本当の恋人のように見えないからだろう。それで考えてみたんだが、どうやら俺たちはお互いについてもっとよく知る必要があるようだ。 お前は何が好きなんだ?」
ジュベリアンは好きなことを考えたことがなく、唸りながら考えた。
「あ、そういうことなら… 私は本が好きです。 花を見るのも好きで、お茶を飲むのも好きです。 それから···。」
「それから?」
(こんなにゆっくり彼女について知っていくと···。)
マクスは嬉しそうに話を聞いていたが、ジュベリアンが突然絶望したような顔になり驚く。
「…なんでそんな表情なんだ?」
「私たち···本当にうまくできるでしょうか?父が皇太子への未練を捨てきれずにいるのに、このままバレたら本当に終わりです…。」
「……………。皇太子がそんなに嫌なのか。」
ジュベリアンは心の中で当たり前でしょう!!!と叫び声を上げながらか細い声で言った。
「ひどいですよね。この前は自分の側近も簡単に殺したって噂が広まってますよ···。」
(その『側近』が、俺の食事に毒を盛ったからな。 皇太子は元々孤独で危険な地位だ…。)
マクスは苦虫を噛み潰したような顔でジュベリアンに言った。
「そんな噂だけ聞いて恐れるには早いんじゃないか? 直接見たことはないじゃないか。」
「熊やヒョウのような猛獣は見たことがなくても怖いじゃないですか。 凶暴な名声らしく、会えば命を脅かされるかもしれません。」
「もし皇太子が『お前を殺さない』と約束すれば、結婚するのか?」
(いや、この男。 なぜ、皇太子に執着するのか…。いい加減に答えて終わらせよう…。)
(殺さない!絶対に! 俺がお前をどうして殺すんだ···。ジュベリアン!!)
「まあ···殺さないなら···考えることはできますね···。」
「ほ、本当か…?」
「ええ。」
(皇太子として害を及ぼさないことだけ約束すれば結婚か···!!)
(うぅ···! ずっと皇太子が思い浮かんでおかしくなりそうだわ!)
マクスは笑みを浮かべて席を立つ。
「もう行く。」
「え、もうですか?」
(イメージ刷新が先だ。今すぐ皇城に帰還する!)
マクスはあんなに帰るのを嫌がっていた皇城に、嬉々として向かった。
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