引用:
お父さん、私この結婚イヤです!
あらすじ
皆に嫌われる悪女「ジュベリアン」。 愛した恋人からも、たった一人の家族であるお父さんにも捨てられ、寂しく死んでしまった悪役…。 そんなジュベリアンに生まれ変わったって? こうなった以上仕方ない。 お父さんのお金を思う存分使って、派手なお嬢さんライフを送ろうとしていたのに、 サイコパスな皇太子が私の結婚相手だなんて! それなら方法はたった一つ、契約恋愛だけ。 その相手はお父さんの教え子がいいだろうと結論を出した。 その男が皇太子であることも知らずに…。
本文
「あ···やばい。 胃もたれしたみたい。 一日一日が危険な状況だから生きて行けるかな…お腹の調子が悪くて眠れない。」
部屋に戻ったジュベリアンは、机に頭を乗せて項垂れていると。
「遅い時間に失礼します、お嬢様。 午後に渡せなかった手紙がありまして、今渡します。」
(まだ手紙があるの…??)
『親愛なる公女様、ローズです!
誕生日の宴会に来てくださってありがとうございます。 あの時くださったプレゼントがとても美しいので、毎日見ながら喜んでいます。
もう体調は大丈夫でしょうか?私が配慮して先に気づかなければならなかったのに…すみません。これからも体に気をつけてください。
ローズ』
(優しいローズ···。 急に帰ってしまって名残惜しいと思ったけれど、こうやって先に安否を聞いてくれるなんて···。
あれ、裏に…。うん?これはティーパーティーの招待状?最近は家にこもってたし···一回、行ってみようかな?
そうね、今回の機会に最近の社交界では皇太子についてどんな話が出回っているのかもチェックしなければならないわ。 たとえば…皇太子が嫌がることは何なのかとかね。)
ーーー・・・
「フロエン公女様がお返事を送ってくださいました!本当に幸いにも公女様が快復したそうです。」
「大きな病気ではなくて幸いですね。」
「 前回のパーティー以降、知らせがなくて心配でした。」
「しかもですね、私たちのティーパーティーに参加の意向を明らかにされました。 皆様、公女様の参加についてご意見はございますか?」
「当然賛成です! 」
「ぜひ、またお会いしたいです!」
ローズが令嬢達に聞くと、みんな大賛成のようだ。
「ベロニカ、次のティーパーティーはあなたの家ですることにしたでしょう? 大丈夫ですよね?」
(···彼女が私の家に来るって?)
ベロニカは明らかに嫌そうに俯いたが、小さい声で言った。
「… はい、そうしましょう。」
「提案に応じてくれてありがとう、ベロニカ!」
ーーー・・・
「無礼じゃないですか!ティーパーティーは主催者が招待権限を持つのに···! アルロ令嬢が自分の知人を勝手に入れて…!」
「···レディーベロニカ。 私は今すごく疲れてるのにそういう話は後に···。」
「………。その知人はフロエン公女ですよ。」
「フロエン公女があなたが主催するティーパーティーに来るって?」
「…はい。どうしてそんな事が有り得るの···。」
「レディーベロニカ。」
ミハイルは不機嫌そうなベロニカの髪をひと束手取ると、それに口付けた。
「ミ、ミハイル様…?」
「私もティーパーティーに招待してもらえますか?フロエン公女が出席するなんて、あなたのことが心配なんです。」
(わ、私を心配なんて…!)
ベロニカはミハイルの甘い笑顔に顔を真っ赤にし、うっとりとした表情で返事をした。
「はい···ありがとうございます、ミハイル様。」
ベロニカには見えないように、ミハイルは黒い笑みを浮かべた。
(いよいよ会うことになるな、ジュベリアン。)
ーーー・・・
アーケード通りにて。
ジュベリアンはなにやら考え込んでいた。
(今度のパーティーはある程度格式ばらなければならない略式のパーティーね。ティーパーティーに似合う服を選ぶのが今日の目標!
···でもお父さん···今日もこんなにいっぱい護衛騎士をつけてくださるなんて···。 ショッピングがちゃんとできるかどうかが心配ね。)
後ろにぞろぞろと騎士を従えながら、ジュベリアンは様々なサロンの煌びやかなドレスを見ながらアーケードを進む。
(なんか…うーん、あまりに過剰ね。こういうデザインが最近流行りみたいだけど···。 どうしよう。どんなお店を見回しても似たようなデザインばかり。 流行を追うべきかな…?)
すると突然誰かに話しかけられた。
「私が公女様ならあんな服は着ません。ことごとくお会いしますね。 お嬢様もショッピングをしに来られたようです。」
(知ってる人かな?)
「あ、はい。」
その二人の様子を見て後ろに控えている騎士達が戸惑っている。
(············お嬢様に優しく話しかけてくれる人がいたのか?)
(いつも嫌われてばかりいたお嬢様がついに···!)
フレジアはジュベリアンに笑いかけて言った。
「公女様は生まれつきか弱いのでなかなか様にならないような気がして。流行だからと言って、窮屈で似合わない服を着ることはないでしょう。 公女様の優雅な雰囲気に合わせた方がよろしいかと。」
(そうよ。確かに私には似合わない服ね。)
「助言ありがとう、よく参考にします。」
そう言うとジュベリアンはその場から離れた。
(おかげで良いことが分かった。 ありがたいわ。 ところで誰だったんだろう?)
(···主君がなぜ公女様に夢中になったのか分かったわ。 近くで見たらもっとずっと美しいわね。)
ーーー・・・
(ショッピング終わり〜!希望のデザインで直接製作注文も入れたし。 もう家に帰ろう!)
ジュベリアンが帰ろうとしていると、急に怒鳴り声が聞こえてきた。
「どこを見てたんだ!!貴族に危害を加えて…早く謝れ!!」
(どのマヌケが人を貶して自尊心を回復しているんだろう?…あ。あの人は···縁起が悪いことで有名なゴードン男爵じゃない。)
すると相手の声が聞こえてきた。
「はあ、自分一人で転んだんじゃないか? 俺がどうして謝らなければならないのかわからないな。」
(···ゴードン男爵と同じくらい学のないない話し方。 上から目線の言葉…………って、お父さんの教え子がどうしてあそこにいるの!?!?)
「なっ···!卑しいものが貴族に口答えするのか!?浅はかな奴め!陰口をたたくのか! この生意気な平民を早く捕まえろ!!!」
マクスはゴードン男爵を殺そうかと思ったが、その前にジュベリアンが間に入った。
「ちょっと!やめてください!」
「お前…。」
マクスはびっくりし、言葉を失った。
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