引用:
皇女、反逆者に刻印する
あらすじ
人造人間「ホムンクルス」の反乱によって滅びたハーデルラミド皇室。第7皇女イヴは妹の裏切りによって1度は命を落としたものの、錬金術の力で8年前の世界で再び目を覚ます。 イヴが皇室滅亡の未来を変えるための方法―それは皇室を滅亡に追い込んだホムンクルスの王・ミカエルを自らの専属騎士にすることだった。 皇女と反逆者、前世ではすれ違ってばかりだった2人が向かう未来とは——!
本文
第6皇女と第6皇子、そしてその専属騎士達はイヴとミカエルの前で並んで跪いていた。
イヴは監視ゴーレムを片手に尋問を始めた。
「それで、誰に指示されたんですか?」
「…ブリジッテお姉様よ。」
(やっぱりね。)
「具体的に何と指示されたのかも教えてください。」
「あなたの専属騎士が、『騎士の役目を果たしていないから、皇居の外に追い出せ。夜のトラブルででも言いがかりをつけて重傷を負わせて、もし剣を抜いて反撃したら皇族殺害未遂罪に追い込むように。』と話していたの。 どうせなら後者の方がいいから挑発しろって···。」
「………。」
イヴは二人を冷たく睨む。
「俺らは全部第3皇女にやらされたんた! 俺と姉は言われた通りにやっただけなんだ! 」
「もし気が収まらないんだったら、 私とデレクの専属騎士を罰してもいいわ。」
「そ、そうだ!不満があれば専属騎士を通じて解決しなければならない!
だから、お願いだからハーデルンタイムズに情報提供することだけは···! 僕の縁談が台無しになってしまうよ!!」
イヴはため息を吐いた。
リトバーとスノーレットが言った。
「罰をください、第7皇女殿下。 」
「私達は第7皇女殿下の怒りを晴らすことができるならば甘んじて受け入れます。」
「必要ないわ。」
「殿下、何卒我々に罰を….。」
「やらないと言ったのよ。」
「殿下…。」
そしてイヴは第6皇女と第6皇子を見下ろして言った。
「本当に幼稚ですね。 専属騎士を保護するどころか、盾で使うなんて…。
私は専属騎士達を代わりに処罰するつもりはありません。ただ命令に従っただけの彼らが、皇族達の戦いの犠牲になるのは正しくないですから。
この監視ゴーレムに全部録画されましたが、今日のことは黙っておきましょう。」
「「え!本当!?」」
なすすべもなく公開されるだろうと思っていた二人は、顔をあげて笑顔を見せた。
「ただし、条件はあります。
アグニト卿に直接謝罪してください。」
「「「…………。」」」
「ええ!?!」
「ど、奴隷同然のホムンクルスに謝罪しろって?!それはあり得ないよ!!」
(部屋の隅の引きこもりだと思っていたのに、 完全に気が狂った子なんじゃないの?)
ミカエルが躊躇いがちにイヴに声をかける。
「皇女…?」
イヴは毅然とした態度を崩さない。
二人を冷たく見下ろす。
「謝ってください。」
「いや、イヴ…君に謝るのなら分かるが、ホムンクルスになんてどうやって…。」
「アグニト卿に謝罪してください。」
「「………。」」
第6皇女はイヴが引かないと分かったのか、顔をそっぽ向けながらたどたどしく言った。
「ごめん···。 アグニト卿。侮辱に対して···謝るわ。」
「私もお詫び···するよ。 忘れてほしい。 アグニト卿。」
「……お詫びをお受けします。」
ミカエルは戸惑いながらも返事を返した。
二人は屈辱で下を向いて震えている。
イヴは二人に言った。
「私を相手に中途半端な制圧は逆効果だけだということを、今日のことで悟ったことを願います。」
そして二人に背を向けると、イヴはスノーレットに近づいた。
「ウィント卿と言ったかな。」
「はい、殿下。」
「立派な結界だね。こんな才能が悪用されたことを残念に思う。今日の不名誉はあなた達のせいではないわ。 だから自責しないでほしい。」
そう言うとイヴはスノーレットとリトバーににっこりと笑いかけた。
スノーレットはその笑顔に呆然とした。
「そろそろ出たいから結界を開けてくれる?」
「あ、はい。殿下。」
そしてイヴはミカエルに向き直り、言った。
「それでは帰りましょうか、アグニト卿。」
「はい、皇女殿下。」
第6皇女と第6皇子はイヴとミカエルが去った後も屈辱で震えていた。
「必ず今日の恥辱は···。」
すると天罰だろうか、第6皇子の目をめがけて鳥の糞が落ちてきた。
「あっ!鳥の糞!私の目がーー!!」
森には第6皇子の悲鳴がこだました。
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