引用:
皇女、反逆者に刻印する
あらすじ
人造人間「ホムンクルス」の反乱によって滅びたハーデルラミド皇室。第7皇女イヴは妹の裏切りによって1度は命を落としたものの、錬金術の力で8年前の世界で再び目を覚ます。 イヴが皇室滅亡の未来を変えるための方法―それは皇室を滅亡に追い込んだホムンクルスの王・ミカエルを自らの専属騎士にすることだった。 皇女と反逆者、前世ではすれ違ってばかりだった2人が向かう未来とは——!
本文
「素敵でしょ。気に入った?」
「とても。」
ミカエルは剣を持ち上げ、眺めた。
「魔狩大会がもうすぐだから…新しい剣にもう大量の血を付けることになって残念なくらいだ。」
【魔狩大会】
野生の山と森からなる島、『ガラパゴン』
そこの魔物たちは結界に閉じ込められている。
大会は島で狩った魔の手の点数を集計して、優勝者を選り分ける方式で進められる。魔の手は錬金術の大切な材料だから、錬金術師たちにとって大会は収穫祭と同じで、錬金術を重要視する帝国もまた、大会を格別に考えた。
「元々そういう用途だよ。」
「まあ確かにそうだな。」
「じゃあ、ミカエル。 ちょっとこっち来て。 やりたいことがあるんだ。こちらへ。」
イヴはそう言うと庭に出た。
そしてミカエルに跪くように言った。
「汝、私の剣となって敵を打ち破り、私の盾となって脅威から私を守ることを誓うか?」
(これは、騎士の誓約···。)
「はい。世の中の全てがあなたに背を向けたとしても、あなたのために戦います。あなたの命令が私の死を対価としたとしても、喜んで従います。」
「汝、今ここで騎士の誓いをし、私の騎士になることを誓うか?」
ミカエルは下げていた頭を上げ、イヴを見上げて言った。
「はい。この命が尽きる日まで体と心、全てを尽くしあなただけに仕えることを誓います。」
イヴはにっこり笑って言った。
「よし、あなたの名誉と勇気にふさわしい職位を与える。私、イヴィエンヌ・クロエル・ハーデルラミドはミカエリス・アグニトを騎士として認める。」
イヴはミカエルを起こし、剣をミカエルに握らせた。
そして笑いながら言った。
「任命式をしてあげたかったの。」
(騎士にとって任命式は花形のような儀式。しかし、ホムンクルスはまともな儀式を行うことができない。 やると言ったところで、養成所の管理人がわずか数言で済んだはずなのに…。 皇女、君は…。)
「………。」
「ミカエル?」
「皇女に剣を授けられた恩返しをしたい。」
「恩返し?うーん、じゃあ、皇女のメンツがあるから、魔狩大会で上位に入ってね。」
(一位ではなく上位圏···。 私の皇女は向上心があまりないな。 そうしたら、勝利がどんなに気持ちいいのか教えてあげなければならないだろう。)
にこにこ笑いながら言うイヴを見て、ミカエルはふっと笑って言った。
「君に名誉を捧げることを誓う。」
ーーー・・・
魔狩大会当日。
イヴとミカエルは魔法陣を使って会場となる島に到着した。
「ここがガラパゴン島ね。どう?」
「空に飛んでいるのはカラスではなくハピだったのか。 」
「うん、ここに住んでいるのは全部魔の手なのよ。」
さすが、魔の手飼育場ね。 入口がまるで巨大な魔の口のようだ。
ここは強力で暴悪なことで有名だった魔龍「ガラムート」が生まれた場所でもあった。
「アグニト卿。」
そう言うとイヴは髪を結んでいたリボンを解いて、ミカエルの剣の鞘に結びつけた。
「気をつけて行ってらっしゃい。」
「ご心配なく、殿下。」
ミカエルはそう言うと、イヴの手の甲にキスをした。
その様子を遠巻きから他の皇女達が見ていた。
ロジーは無表情で、第4皇女は忌々しそうに顔を歪めていた。
そうして、ミカエルをはじめとするホムンクルス達が魔狩へ向かって行った。
イヴは心配そうにミカエルを見送った。
(ミカエル…どうか、無事に帰ってきますように。)
ーーー・・・
『醜悪な被造物···ホムン…クルス……殺す。』
森の奥では黄色い目をした魔龍、ガラムートがホムンクルス達を待ち構えていた・・・ーーー。
〜シーズン1完結〜
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