アラサーOL、マンガを翻訳する

悪役の救い手(韓国漫画)にどハマりした、アラサーOLによるネタバレ・翻訳ブログです。

【ネタバレ・翻訳】 「皇女、反逆者に刻印する」 31話

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引用:

皇女、反逆者に刻印する

あらすじ

人造人間「ホムンクルス」の反乱によって滅びたハーデルラミド皇室。第7皇女イヴは妹の裏切りによって1度は命を落としたものの、錬金術の力で8年前の世界で再び目を覚ます。 イヴが皇室滅亡の未来を変えるための方法―それは皇室を滅亡に追い込んだホムンクルスの王・ミカエルを自らの専属騎士にすることだった。 皇女と反逆者、前世ではすれ違ってばかりだった2人が向かう未来とは——!

本文

『この秘密厳守条項は必ず守ってくれなければならない。』
『 もちろんです。』

ーーー・・・

イヴは馬車の中で、先程ペガサス劇団長と結んだ契約書を思い出した。

(平民が皇族と絡んでいることが知られていいことはない。いつかは明らかになるだろうけど···。 当分最大限隠そう。)


「ハグは私にだけ許すって言ってたが、例外が増えたな。」
「あ。」
「ミカエルという先例があるからか、 妙に嫌じゃなくて。」
「こんなことが平民たちの社交のようだな。」
「平民たちの社交?」
「友達ができたのではないのか?」
「そうね…。」


(友達…もしかするとリモナに私が誰か明かさないことも私心が混ざったのかな? 今度会った時も、ずっと私に楽に接して欲しい···。)


「そういえばミカエルは友達はいる?」
「うーん。そうだな…。」
「?」



ーーー・・・


イヴを部屋に送り、ミカエルは私室に戻った。

部屋にはベッドが二つあり、片方のベッドの上にはミロードが寝転がっていた。


「ルームメイトが来ていたのか。」
「あ、ミカエリス。」
「久しぶりに夜の12時前に帰ってきたな。」
「夜の12時前ではあるよ。 一日を費やしたのだから。」

(外泊か?)


ミロードは疲れ切っていて、シャツから覗く首元にはキスマークがたくさんついていた。

「帝国の白薔薇様も··· あまり違わなかったよ。ミカエリス、お前はどうだ? 第7皇女殿下も君にこんなものを要求するのか。」
「無礼だぞ。」
「…失言だった。」

(こいつ、 失言したのを見るとずいぶん疲れているようだな。)

「もう休め。夜が明けたら剣でも交えよう。」
「ああ···。」

ミカエルはそう言うとカーテンを閉めた。



『ミカエルは友達いるの?』
先程イヴが馬車の中で聞いてきた言葉を思い出した。

(ホムンクルスに連帯感のようなものはないと学んできたし、私もそうだとばかり思っていたのに。)

「友達か…。」



ーーー・・・


会議室。

リミティエル侯爵枢密院議員を始め、貴族達はイヴの事を褒めたたえている。

「皇帝陛下が第7皇女殿下を参列させた理由があったのですね。」
「こんなに英明だなんて!」
「そうだ! 最近、どれだけ誇らしいのか。開拓地区移住政策案の草案もイヴが提案したものだ。」

陛下が得意げに言う。

「え!?皇女殿下とだけおっしゃったので、 当然第3皇女殿下だと思いましたが?私だけではなく皆そう思っていたのですが…。」
「違ったのですね。」

陛下が改めて否定をする。

「おお、どうしてそんな噂が···。 違う。イヴだよ。」


(お姉様が噂を変えたのね。 しかし···。ティータイムで非公式舌戦を繰り広げた以前とは異なり、これからは私の発言は主要人物の記録として伝えられるだろう。お姉様が私のボールを横取りしようとしたことも、枢密院議員と書記官たちの口に乗って、すぐに正されるだろう。ベティさんの面目は丸つぶれね。)

会議が終わり、イヴは満面の笑みで会議室から出ていった。


ーーー・・・


「イヴィエンヌ、おきれいなこと….。」



先程の会議でのこと。

『···してサンドワームビオクトを活用する案で行きましょう。』
『はあ、いったい誰がそんな嫌な意見を出したんですか?侯爵が代弁するのではなく本人が直接来て主張しろと言ってください。』
『発議者は移住政策案を出した者ですが。いずれも第7皇女殿下からの意見です。』
『……!!』

(それをどうやって…!)


ほかの貴族達がざわつく。

『私は今まで第3皇女殿下の功労かと思っていたのですが···。』
『 こりゃ、まんまとだまされたな···。』
『こんな恥を晒して…。』


ーーー・・・


(これまでのように何も言わずにいると思っていたのに、今さら政治に足を踏み入れると?)

ブリジッテは無言で怒り狂っている。


ブリジッテの専属騎士であるハルシュテンが、部屋のカーテンを閉めながら苦笑いしている。

(怖いくらい静かだな。 香水の匂いがこんなにきついのに、びくともしない。)


「敢えて私にそんな恥をかかせるとは。主題を知らずに、おとなしく部屋の隅で遊んでればいいものを。 そうね、政治に頭を傾けたことを後悔することになるでしょう…イヴィエンヌ。」


そう言いながら、ブリジッテは黄色のバラを握りつぶした。



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