引用:
姉が男主人公を拾ってきた
あらすじ
エイミーが16歳になる日の朝、姉が男の子を拾ってきた! この展開、まさに前世で読んだ小説のワンシーン… 記憶喪失のこの「男の子」こそ、古代の魔法にかかった主人公のリノク! 小説ではリノクの名付け親となった姉が殺される運命になったので、代わりにエイミーが「ノクス」と名付ける。 そこから、昼は天使のような子供の姿、でも夜は大人の男になる「ノクス」とのドキドキの生活が始まって…
本文
(···あり得ない。)
「まさか、ペンリル···?」
『そうだ、預言者よ。』
「間違った人を見つけてしまったようですね。私は、イベルクの人間でもなく、預言者でもなんでもないんです。」
『イベルク家の人でないことは知っている。でもそなた、未来を知っているだろう? ずっと前から見えていたはずなのに。』
「……!あ、いえ、私はそんなの知らない···。」
『嘘は私のような生物には通じない。』
「···そうですね!未来がわかる! それがどうしました!」
『だからそなたに断ち切ってほしいというのだ。未来を知ること、そしてその流れに振り回されないこと。 それがまさに預言者の能力だから。』
「流れって…?」
『文字通り、世の中の流れだ。 人間は運命と呼んだか。預言者は、決まった運命を変えることができるし、変えても代価を払わない。』
「······!!そんな能力なんか···必要ない。私はもうこれ以上何も変えたくない! むしろすべてを元の場所に戻したいんです!」
『一体なぜだ?』
「それは…。」
『俺はお前がいれば何でもいい。』
エイミーはリノクが言ってくれた言葉と熱い視線を思い出す。
「その人が幸せであるように···心から願うから。 私は既に大きな方向を一つ変えました。 それを振り返るのは難しい。今すぐにでも戻さないと、あの人が死ぬかもしれないのに、私がそんなことをどうやって見ていられるのか···。」
『………。私は人間をよく知っているが君の話はどこか変だね。人間の中には死ぬ瞬間にも幸せな人がいる。死と幸福は対極に立っている関係ではないということだ。』
「···ということは、リノクが死んでも幸せな道があるという意味ですか?私が知ってる話はハッピーエンドです。 幸せになれる物語を私が台無しにしたくないんです。」
『物語か…。預言者の君が見た未来はそこまでみたいだね。』
「え?それはどういう意味ですか。」
『時間がないから本題に移るようにしよう。君に頼みがある。うちの子を育ててくれ。』
「………。何?!?そんなあり得ない···。」
『私の子だ。』
ペンリルはどこからか子犬サイズの真っ白なオオカミをエイミーの前に出した。
(耳···かわいい!! めっちゃかわいい!!)
『本当に可愛いだろう。』
「そう、可愛い………これじゃなくて…! なんでこんなことをするんですか! 私はイベルクの人間ではないんですって!」
『そなたにこうするのは当たり前じゃないのか? イベルクもそなたが育てるのを望んでいるようだから。』
「え?!それはあり得ないことだよ!リノクはあなたが嫌い…。」
(あれ…?急になんでこんなに目の前がぼやけて···眠いんだろう?)
『本来はそのまま帰るつもりだったが、すぐに契約が切れると困難な状況だったのだ。』
エイミーは急に眠くなり、意識を失い倒れそうになった。
その時、リノクが現れエイミーを抱きかかえた。
『思ったより早く到着したな。イベルクの跡継ぎよ。』
リノクはエイミーを抱きながら、ペンリルを睨みつけている。
「子供まで含めると、 まだこの世にに2個体残っているのか? 残念なことになったな。今日俺の手で全部なくなる予定だからな。」
『どうしたのだ?私がオオカミの結び目を一つ握らせたのに、感謝しないのか?』
「こんな風に握らせてくれるのは全然ありがたくない。 エイミーを使って俺を無理やり引っ張り出した意図は何だ?」
『………。白い山脈に無理やり入り口ができた。』
「皇室の仕業なのか。」
『そうだ。何故か彼らの中に非常に優れた魔法使いがいるようだ。だからそなたと、そなたの伴侶だって···契約に従って頼むよ。うちの子を育ててくれ。』
ペンリルはそう言うとあっという間に消え去ってしまった。
「はぁ···面倒なことになったな。」
ーーー・・・
朝。
「あぁ、頭が痛い···最近ちょっと疲れてたかな? 珍しい夢を見るのよね···。久しぶりにお姉さんが登場するし、本で見たペンリルが何か言っていたし···。」
そう言いながら起き上がったエイミーは、ベッドの上に何かがいることに気がついた。
そこには夢だと思っていた、昨日出会った子犬サイズの真っ白なオオカミがいた。
「ええ!!昨日の夜の…夢じゃなかったの?!この子を私にどうしろというのよー!!!」
エイミーは頭を抱えて叫んだ。
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