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悪役の救い手(韓国漫画)にどハマりした、アラサーOLによるネタバレ・翻訳ブログです。

【ネタバレ・翻訳】 「悪女は2度生きる」 77話

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引用:

悪女は2度生きる

あらすじ

謀略の天才、皇帝を作り上げる! ”お兄様が成功すれば、お前も成功するのよ” それを信じ、あらゆる悪事を企てた悪女「アルティゼア」。 しかし、彼女の兄への忠誠は裏切りとして返ってくる。 死を前にした彼女に手を差し伸べたのは宿敵であり、正義ある大公「セドリック」だけだった。 魔術で命と引き換えに18歳の自分に生まれ変わった彼女は、「セドリック」を皇帝にするために新たな人生を捧げることにするがーー

本文

「私たちには絶対にそんな顔を見せませんから。」
「あ…。」

「妃殿下がここまで来てくださって感謝したいです。 父もいつも心配していたんです。
大公殿下は、少年時代もいつも大丈夫、まだできる、何ともないとおっしゃっていたそうですよ。高貴な身分として、エブロンのたった一つだけの柱として、しかるべき姿勢ではありましたが、それが大人たちにはいつも心が痛かったようですから。
その時は、幼かったのでよく分からなかったんですけど、妃殿下がこのようにエブロンを受け入れてくれて、また殿下と一緒にいてくれて、どんなに嬉しいかわかりません。」
「いや…。」


ティアはリシアの言葉を複雑な思いで聞いていた。

(それも本来はリシアの役割だったのだろう···。)



ーーー・・・


その後、エブロン大公城に到着した。


ティアとリシアが本城に入ると、働いてる者達に活気がなく、どことなく暗い雰囲気が漂っていた。


(···やっぱり信頼が崩れたのね。オーブリーが犯した罪は、その原因とは別に許されるものではなかった。
本城の構造と隠し通路を流出することは、たとえ城主の家族が犯したことだとしても、城壁に晒されるほどの重罪だ。
しかし、これは私の責任だ。私がエブロンに来なかったら、カドリオルもここまで来なかったのに···。
アーロンとマーガレットは20年以上本城を見てきたし、ジョルディン伯爵家は上下ともに信頼されていた家門だった。
その家門が大逆罪で一挙に退けられた。 建設以来、難攻不落だった城が開かれた。
そしてその原因となった大公妃は、結婚して半年足らずのよそ者だ。
前世ではあれほど作りにくかった亀裂だったが、ここに来てすぐに作ってしまった。
今回は決してそうしてはならなかったのに…。)


ティアが暗い顔をして黙っていたのでリシアが心配そうに話しかけてきた。

「妃殿下?どうしたのですか?」
「いや、なんでもないわ。」



するとアガテ子爵がやってきた。

「無事にお帰りになって幸いです。」
「ご苦労さま、アガテ子爵。卿が大公殿下に代わって本城の官吏になったと聞いたわ。」
「はい。妃殿下がお帰りになるまでの間だけ引き受けようとしたのですが、状況が状況なので当分の間軍部を私が見なければならないようです。」
「卿を信じている。大公殿下はトルド関門に行かれたわ。」
「 のろしはこちらでも見ました。 現在本城ではパトロール隊を中心に編成し、騎士団を運用しています。」
「一般的な村は大丈夫なの? 帰り道にも死傷者がかなり出たのに···。」
「今まで目撃されたカラム部隊は全て撃破しました。 お疲れのことでしょうから、ご心配なくお休みください。」
「ありがとう。」



すると廊下の奥からメイド達が走ってきた。
「「「あ!!奥様!!!」」」

そしてティアをあっという間に囲み、皆涙目でまくし立てた。


「私たちがどれだけ心配したのかご存知ですか!」
「 怪我はないですよね?」
「まず体を温めてください。 」
「うう、奥様···。 」
「お風呂のお湯を準備しておきましょうか?」
「夕食は召し上がれますか?」
「 かぼちゃスープがあるんですが…。」

まだまだ続きそうだったが、リシアが手を叩いてその場を収めた。


「みんなやめなさい! 妃殿下はお疲れでしょうから、ソフィーは着替えを用意して、リゼはスープとチョコレートを持ってきて。他の人はお風呂のお湯を用意するように。」
「「「はい!」」」


そう言うとリシアはティアの方を向き頭を下げた。

「妃殿下、私もしばらく着替えに行ってもいいですか?」
「リシア、長い間外にいて疲れていると思うから、ゆっくり休んできて。」
「ありがとうございます、妃殿下。 すぐ戻ります。」


そうして部屋にはティアとアリスだけが残った。

「リシア様は、 本当にいい方だと思います。奥様の心をリラックスさせて··· 今も奥様に報告する事があると分かって、配慮してくださったんですよね?」
「アリス、ちょっとこっちへ来てくれる?」
「はい?」


そう言うとティアはアリスに抱き着いた。

「お、奥様?どうなさったんですか?」
「ただ、なんとなく…。」
「なんとなく、ですか?···私のお嬢様、本当に大変だったんですね。」


アリスはそう言い安心させるように、ティアの頭を撫でてあげた。

「もう大丈夫ですよ。無事にお帰りになられたのですから、 何もないでしょう。」


ーーー・・・


セドリックが去った日の夜明け前ーー

リシアはセドリックの部屋にいた。
机の上には拳銃が置いてある。


『お呼びですか、殿下。』
『銃の撃ち方は習ったか?』
『少しだけ。』
『これを君に任せる。』
『これは…殿下が愛用している銃ではないんですか?』
『君は何でもこなすからすぐ覚えるだろう。』
『妃殿下に直接差し上げた方が良いんじゃないでしょうか。 私にはとても、やりすぎです。』
『あの人がこれを撃って手首を外さなければ、あげたんだが…。』

セドリックはティアを思い浮かべた。


『身を守るのは、今回のことがあったけど、それでも大して気にならない。危険があるかもしれないと思ったら、それへの備えは自分でできる人だから。
私が心配するのはリシア、君だ。ティアは精神力が強そうに見えるが、実は崩れやすいんだ。 頭がいいせいか、思いもよらないうちに向こうに行ってしまう。
でも君が側にいれば大丈夫だ。 君はいつも正しい道を見つけることができるから。』
『私は今ようやく妃殿下を知っただけです。命を捧げてを守れと言われたら、そのお話には従います。 しかし···。』


セドリックはリシアの言葉を遮り、リシアの手に拳銃を置いた。

『ティアの側にいてくれ。 それで十分だから。』


ーーー・・・

リシアはセドリックとの約束を思い出しながら、廊下を歩いて行った。




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