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悪役の救い手(韓国漫画)にどハマりした、アラサーOLによるネタバレ・翻訳ブログです。

【ネタバレ・翻訳】 「悪女は2度生きる」 72話

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引用:

悪女は2度生きる

あらすじ

謀略の天才、皇帝を作り上げる! ”お兄様が成功すれば、お前も成功するのよ” それを信じ、あらゆる悪事を企てた悪女「アルティゼア」。 しかし、彼女の兄への忠誠は裏切りとして返ってくる。 死を前にした彼女に手を差し伸べたのは宿敵であり、正義ある大公「セドリック」だけだった。 魔術で命と引き換えに18歳の自分に生まれ変わった彼女は、「セドリック」を皇帝にするために新たな人生を捧げることにするがーー

本文

セドリック様が現れた時、心臓が高鳴り壊れるかと思った。
カドリオルを説得できるとは思っていた。しかし何事もなかったわけではない。死は怖くなかった。 すでに一度死んだ身だったから。
しかし、彼に二度と会えずに死にたくはなかった。 今やっと人間らしく暮らしているのに、その人生から離れたくなかった。死ななかったとしても南海に連れて行かれたら死んだも同然の身になったはずだ。

『君はもともとエブロン大公に恋心を抱いていたのだから、そうしてもおかしくない』
その言葉が胸に釘のように刺さった。 『すべて忘れることができるようにする』という言葉に、心が一瞬でも揺れるほど。

でも、セドリック様…。雪と寒さを乗り超えてここまで駆けつけるのは容易ではなかったはずなのに···。
本城が開かれたから後始末も少なくなかったはずだ。 しかし、それよりも私を優先した。助けに来てくれた。 にも関わらず、その敵を放してやれと述べた。
むしろ「なぜか。」と冷静に問うなら、数十個でも巧妙な言い訳を交えて言えるだろう。

助けに来てくれて嬉しいと、その話をしてもいいのか。しかしそうするには彼は失ったものが多すぎる…。



「!…ティア。」
「申し訳…ございません。」

ティアの両目から涙が溢れた。
セドリックはそれに驚いた様子だ。
そしてティアの頬に手を添え、目じり、額、唇と何回もキスをした。

「殿下…あっ。」
「···謝らないでください。あなたが私に申し訳ないと思うことを望んでいるのではありません。あなたがいなくなったという知らせを聞いた時に私がどんな気持ちだったか分かりますか?
一晩中、雪原を走りながら考えました。 あなたを失っては生きていけないと···。本城が崩れてしまいました。
ジョルディンが裏切り、私の信頼が虚像だったことが分かりました。すべてを失った気分にならないといけないのに···」
「虚像ではありません…。」


セドリックはゆっくり首を振った。

「ところがあなたしか考えませんでした。本来ならエブロンのためにあなたを選んだわけですが、あなたさえ無事ならエブロンはなんでもないように···。それなのにあなたは身を投げてその男を保護するのかと···。」
「あ…そこまでしていません···。カドリオル殿下がここで死んだら…ん。」

セドリックは言葉を遮るようにティアにキスをする。

「あなたがそうしろと言ったので生かして行かせました。 私の忍耐心はそこまでです。彼の肩を持たないで、理由も言う必要はありません。 これ以上あなたの前でめちゃくちゃになりたくないから。」

そしてもう一度キスをした。

「殿下…これは正しくありません。」
「私もそう思います。」

(たった2年間保護を約束した契約相手に過ぎない。彼女はまだ幼くて、保護者が必要だったので結婚したのだ。
「私の妻」と呼んだが、本当の夫ではない。それでも、いや···だからこそ胸が焦がれるようだ。)


「あなたのことが好きです。」

「あ…。」
「知らなかったとは言わないでください。 知っているから私を避けたのではないですか。ティア···愛してます。」
「いけません…。」
「嫌です、と言ってください。」


セドリックはティアの唇に顔を近づけ、止まった。
ティアは堪らずセドリックの首に手を回し、自分からキスをした。


「…あなたのことが好きです。何も考えずに僕だけを見ていてください、ティア。嫌ですか?」
「いいえ···セドリック様。」


そして二人は手を繋ぎベッドへと向かった。



ーーー・・・


(ああ···リシアにこの罪をどのように償うのか。彼の妻という名前をしばらく得ただけでも、既に大きな罪なのに…。
最大の問題はカドリオルが回帰前の記憶を持っていること。あの時は完璧に魔法陣を描いたと思ったけど、拷問の後遺症のため気が気でなかったのかもしれない。何よりも過去を知る人がまた現れたら、それでセドリック様が私の本当の姿を知ったら···。)


するとセドリックがティアが起きたことに気が付いた。

「起きましたか? 夜が明けるには、まだまだです。 もっと寝ててください。」

セドリックは横になっているティアにキスした。

「後悔していますか?」
「 …いいえ。」
「あなたが、間違いだったから忘れてくれと言うかも知れないと思いました。」
「セドリック様こそ…。」
「私はそんな考えはしたこともありません。 こんなことでしくじったことも······。むしろ···ずっと前にこうすべきだったと思いました。」


セドリックはティアが寝ているベッドに腰掛け、言った。

「ティア、契約をなかったことにしたいです。」



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