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悪役の救い手(韓国漫画)にどハマりした、アラサーOLによるネタバレ・翻訳ブログです。

【ネタバレ・翻訳】 「悪女は2度生きる」 70話

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引用:

悪女は2度生きる

あらすじ

謀略の天才、皇帝を作り上げる! ”お兄様が成功すれば、お前も成功するのよ” それを信じ、あらゆる悪事を企てた悪女「アルティゼア」。 しかし、彼女の兄への忠誠は裏切りとして返ってくる。 死を前にした彼女に手を差し伸べたのは宿敵であり、正義ある大公「セドリック」だけだった。 魔術で命と引き換えに18歳の自分に生まれ変わった彼女は、「セドリック」を皇帝にするために新たな人生を捧げることにするがーー

本文

「侯爵はエブロン大公の下にいるにはとてももったいない。 彼は君の能力を半分も使えないだろう。」
「カドリオル殿は違うということですか。」
「記憶がある私なら当然違う。 私たち2人が手を組めば,帝国を覆すことも不可能ではないだろう。」
「私はエイメル王国には興味ありません。」
「ローレンスに復讐するのも助けてやる。」
「………。」
「聖女とエブロン大公にも悪くないようにする。 どうせ私は帝国北部には関心がない。 侯爵が仲裁し、手を組んで帝国本土を半分に分けるのはどうか。南では私が、北ではエブロン大公が制圧するのだ。」
「カドリオル殿下 。」
「侯爵が聖女のためにエブロン大公と手を組んだなら、こちらの方がずっと良い結果を生むだろう。帝国の皇太子妃になるよりは、今度こそエブロン大公と結ばれた方が幸せだから。
それとも大公と聖女を主君として祀ったのではなく、私的な気持ちで大公と結婚したのか?」
「それは…。」
「君はもともとエブロン大公に恋心を抱いていたから、そうしてもおかしくはないけどな。」
「どうして…。」
「それを俺が知らないと思ったのか?」
「···そんなことありません。」

カドリオルはティアの手を引いて言った。

「何、大丈夫。全部知らないふりをしてやる。 公私共に、すべて忘れることができるほど愛してやる。俺のところへ来い。」

しかしティアは手を振り払い、カドリオルに背を向けた。

「お断りします。私があくどい女であることは事実ですが、主君を2度変えるほど軽薄ではありません。」
「それではこの場で君を殺して行く。 聖女と大公の前で君を生きたままバラバラにして海に投げ捨てるのもいいだろう。」
「私を殺すことが利益だと確信していらっしゃいますか?確信がないので、まだ殺していないのでしょう。」
「…はあ、そうそう。侯爵を殺すのが目的ではない。 私のところに来いということだよ。」
「···私がこのままカドリオル殿下に従って加計を進言すれば、それを信じていただけますでしょうか?」
「難しいな。」
「私に記憶があるということだけでも、殿下の計画はすでに外れていました。私はカドリオルの殿下に従うことは決してありません。 でも、策は出します。私たちは以前にもお互いよくし合いました。 今回もお互いに良い同盟を結べるでしょう。」
「それで?今度も私に不意打ちを喰らわせようとするのか。 悪いが、ローサン侯爵、俺は今度はクラテス帝国の後継者争いについて考えるつもりは全くない。」

するとティアは急に冷たい声で言った。

「エイメルの現王妃陛下、半年以内に暗殺します。 殿下とは何の関わりもない、クラテス帝国人の手で。」


ーー・・

エイメル王室の事情はやや複雑だった。
カドリオルの父であり、エイメル国王は、カドリオルの母親である元王妃とは仲が近くなかった。
このため、60歳に近いにも関わらず、第1王子のカドリオルの他に後継者を置かず、前王妃が死ぬとすぐに幼い新しい王妃と再婚した。

国王は新しい王妃が産んだ次男を非常に大切に思っていたが、前王妃に似たカドリオルのことは憎んでいた。しか すでに成人した彼はエイメルの王子として支持され実権を握っていた。
国王にとってはそれさえも目の敵だった。 息子であり後継者ではなく、自分の権力を奪う政敵としか見えなかったのだ。

そのため、彼に着せる濡れ衣と兵士を準備した時、国王は迷わなかった。
彼は一生父王に苦しめられ、仲の悪い継母と争い、謀反をもって最期を迎えた。


ーー・・


(功を立て国を富強にしても父王に裏切られるということもまた知ってしまった。二人を排除できるのなら、彼にはもう望むことはないだろう。)



「現王妃を暗殺するって?」
「リアーガン公爵家にもう刀を植えておきました。 王妃陛下を暗殺し、長男の公爵家に濡れ衣を着せます。 王妃陛下は、後ろのリアーガン公爵家と繋がっています。」

ティアはデアリー・フォードのことを思い浮かべる。

「双方の意見が食い違って、リアーガンが暗殺したことにしようということだ。」
「はい。公式的にはリアーガン公爵家と王妃との関係をご存じないので、軍事行動に出るための十分な名分となるでしょう。」
「それを実行するということをどうやって信じる?」
「首都で私のことをすでに調べて来られたはずですから、私が皇后陛下の侍女になったこともご存知ですよね?リアーガン公爵家を滅亡させることは皇后陛下の願いです。」
「それを帝国の内紛に利用して食うということだな。」
「はい。リアーガン公爵家は、小さくない餌ですから。」


そして今のリアガン公爵は皇帝の配下として南海塩の流通を担当している。
塩の専売券で稼ぐお金は、皇帝の最大の収入源でもあった。それに手を出すと逆に追い込みやすかった。


「最悪の場合、父王は帝国の謀反に関わり、そうでなくても王妃が帝国の塩専売権に手を出していたことが明らかになるはずだ。打撃を受けざるを得ないな。 グレゴール皇帝が黙っているはずがない。」
「他国の内政に干渉することはできません。 しかし、エイメル国王陛下にも誠意を示さなければなりません。この仕事はカドリオル殿下のためにする仕事ではありません。 そして、私が帝国にいてこそ実行できることでもあります。カドリオル殿下がすべきことは、名分に合わせて適時に攻撃することだけです。今日ここで会ったことだけを隠せば、殿下を疑う者は誰もいません。」
「……一つ考えていないことがあるな。」
「え?」


すると急にカドリオルはティアの腰に手を回し抱き寄せ、床に押し倒した。


「策士としての君は得られなくても、女として物にするは難しいことじゃない。君との子だったら良い後継者に恵まれるのは明らかだ。」

しかしティアは顔色ひとつ変えずに言った。

「それで、私の提案を受け入れてくださるのですか、違うのですか?」

カドリオルは苦笑いしながらティアの手を引き起こしてあげた。

「表情一つ変わらないな。こちらからも提案を一つしよう。エブロン大公を皇帝の座に就けるのが侯爵の目的だろう? その仕事を終えてからだとしたらどうだ。エブロン大公が主君であるだけなら、仕事がすべて終わった後には彼に固執する必要がないではないか。」
「それはそうですが…。」
「引退してどこかへ行くつもりなら俺のところに来い。 南海の気候は間違いなく侯爵の健康にも良いだろう。」
「監視するためにそんな手間までかける必要はないと思いますが。 その時になってもどうせ私を信じることはできないでしょう。」

カドリオルはティアを誘惑したのに、それに全く気付いていない様子のティアに呆れている。

「···本当に分からないのか? それとも、わざと知らないふりをしてるのか?」
「はい?」
「呆れた。俺がプロポーズしたことはもう忘れたのか。」
「いえ、それは···。 」
「まともに受け入れてもらえないとは、こんな屈辱は初めてだよ。 俺は本気だったのに。」
「カドリオル殿下、自分の首を斧で打たせた女性に好感を持つ奇妙な趣味でもお持ちですか?」

カドリオルはティアの前髪を耳にかけ、額をトントンと優しく叩いた。

「確かに、私も悪趣味だと思う。でも仕方ないんじゃないか? この中に入っているのが、 どんな宝石なのか知ってるんだ。真剣に考えて、侯爵。君の都合が悪くなるまで待つ用意もあるから···」

カドリオルが言い終わる前に、外から叫び声が聞こえてきた。

「船長!!!」

「なんと、直接お越しになるとはな。」


扉が壊され、砂埃の中からセドリックが現れた。



→次回「悪女は2度生きる」71話へ



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