引用:
お父さん、私この結婚イヤです!
あらすじ
皆に嫌われる悪女「ジュベリアン」。 愛した恋人からも、たった一人の家族であるお父さんにも捨てられ、寂しく死んでしまった悪役…。 そんなジュベリアンに生まれ変わったって? こうなった以上仕方ない。 お父さんのお金を思う存分使って、派手なお嬢さんライフを送ろうとしていたのに、 サイコパスな皇太子が私の結婚相手だなんて! それなら方法はたった一つ、契約恋愛だけ。 その相手はお父さんの教え子がいいだろうと結論を出した。 その男が皇太子であることも知らずに…。
本文
テレンス伯爵家、ティーパーティー会場にて
『私もティーパーティーに招待していただけますか。 フロエン公女が出席するなんて、あなたのことが心配なのです。』
ミハイルはそう言ってベロニカを誘惑し、ティーパーティーに参加したのだ。
(この先からは順調だった。 令嬢たちを味方につけるのはいつものように簡単なことだからな。)
ローズマリーがミハイルとベロニカに近付いた。
「この前私は、確かに令嬢たちの合意を得なければならないと言及しました。 なのにどうして···。」
(ローズマリーか、不思議なくらいジュベリアンに友好的だそうだな。しかし、君がそうしたところでね。)
「ローズマリーさん、人に厳しく本人には慈悲深く振舞う姿、あまりよくありませんね。」
ミハイルが言うと、他の令嬢達が同意し始めた。
「確かにミハイル頃のお話も一理あります。フロエン公女の招待は、アルロ令嬢がすでに招待した後、許可を得たものですから。」
するとジュベリアンがマクスと共に会場に現れた。
ミハイルはマクスを見て衝撃を受ける。
(あいつは一体何だ!)
ローズマリーや他の令嬢達もマクスに興味津々である。
「公女様、失礼ですが隣の方は···?」
「あ、こちらは私の恋人のマクスと申します。」
ジュベリアンの言葉に令嬢達は目がハートになる。
(公女が恋人だなんて···デマだと思ったのに。)
(あの男、ハンサムすぎる!)
「「「お二人、とてもお似合いです!」」」
マクスは満足そうに黒い笑みを浮かべる。
(ミハイルにまで聞こえるように、 もっと大きな声で話してくれ。)
「公女様のご恋人とは… お目にかかれて光栄です。今回のパーティーに実は···。」
ローズマリーが話していると、絶望的な表情をしているミハイルがいるのに気が付く。
(ミハイル??あなたがどうしてここにいるの?)
マクスもミハイルに気が付き睨みつける。
(ついに顔を合わせたな、ミハイル。この✕✕✕野郎!)
マクスの無礼な態度にミハイルは怒りで震えた。
(何様のつもりで上から見下ろすんだ…!)
その三人の様子を見て、周りの令嬢達は大いに盛り上がった。
(ジュベリアン、お前がこういう奴だったとは。恐れ多くも私を捨てて恋人を作ったと?いや、落ち着こう。 ジュベリアンなら、ひょっとしたら全部私の関心を引き出すための企みに違いない。名前だけ言ったのは、さぞつまらない家柄か平民だからだろう。くだらない奴で私を刺激しようとしているようだが。今日、君の忍耐力が底をつくようにしてあげよう。)
「お久しぶりですね。ジュベリアン。」
ミハイルは爽やかな笑顔を貼り付けて、ジュベリアンに笑いかけた。
(化けの皮を剥がせ!✕✕✕野郎!!)
(どうしたのかしら? 私たち笑いながら話す仲だったかな?以前はあの笑顔に惚れて必死になって追いかけたけど、今は驚くほど何とも思わないわね。)
「あ、はい。お久しぶりです。」
ジュベリアンの適当なあいさつにマクスはしたり顔をする。
そしてジュベリアンはマクスに笑いかけながら言った。
「マクス、送ってくれてありがとう。 私たち後で会いましょう。」
しかしマクスは離れず、むしろジュベリアンの肩を軽く抱き寄せた。
そしてミハイルのことをギロリと睨む。
(ちゃんと見ておけ。 ミハイル・アルバート・ヘッセン。ジュベリアンの側には俺がいるということを。)
ローズマリーが控えめに話かけてきた。
「すみません、ちょっと待ってください。 一つ提案を申し上げようと思います。今日のティーパーティーに予定外のお客様がお一人いらっしゃるなら、もう一人追加されてもいいと思うんですが、皆さんの考えはどうですか。」
令嬢達はもちろん満場一致で同意だ。
(んん??まさかマクスを…?ダメ!! 今は演技が上手だけど、マクスはいつ爆発するか分からない爆弾よ!!)
(ローズマリー = オレの味方 = ジュベリアンの味方 = 絶対味方!!!)
しかしミハイルだけは違ったようだ。
「私は同意しません。例外として来たお客様ですよね?」
ジュベリアンが心の中でお前が言うなとツッコミを入れる。
「私も同意しません。公平ではない偏愛は、公女様を困らせるだけですので、ご遠慮ください。」
(この令嬢が、このティーパーティーの主催者で、テレンス伯爵家のベロニカね。)
「その代わり空き部屋は多いので、公女様のパートナーに待っているところを用意しましょう。」
「ありがとうございます、テレンス令嬢。」
(ティーパーティーは始終マクスのケアをしなきゃいけないところだった。彼女のおかげで事がうまくいった。なんとなく私と相性がよく合いそう…。)
しかしテレンス令嬢はそうは思っていなかった。
(みんなミハイル様の 顔色を伺って大騒ぎね。それもみんなあの女のせいで…。)
ーーー・・・
部屋に移動し、皆で椅子に座り紅茶を飲んでいた。
「ベロニカ、ちょっと待ってください。」
ミハイルはジュベリアンに嫉妬させようと、隣に座っているベロニカの口元を親指で拭った。
(やっぱり私のことを忘れられないようだな。君が私を容易く忘れるはずがない。 いくらがんばっても君は、私の手のひらの中だよ。)
「紅茶がとてもおいしいです、ベロニカ。」
「ありがとうございます。ミハイル様。」
ベロニカはミハイルに夢中である。
一方ジュベリアンは全くミハイルの事など考えず、物思いにふけっていた。
(なんで私と相性がいいのかなって 思ったのか、前世のジュベリアンみたいに、ミハイルに夢中だからかな? 私にそうであったように、あの姿は本気ではないだろうし、ミハイルは結局、皇女と結婚する運命なのだから···。結局、その先は破滅するだけなのに。どうか、悪女ルートだけは歩まないで…。)
ーーー・・・
その頃マクスは控え室にいた。
ジュベリアンから事件を起こさないよう釘を刺されているため、大人しくソファに座っている。
(俺は今ここでこうしている場合ではないんだよ。今この瞬間もミハイルの奴が何をするか分からないな···。あの場面であんなに笑うなんて···最悪なやつ。)
マクスはジュベリアンとミハイルの件についての報告を思い出した。
『本当に運が悪いのは、フロエン公女が彼に対する過度な愛情のせいで悪口を言われている間に、たった一度も彼女の肩を持たないだけでなく、彼女のお金と公爵の名声を徹底的に利用したということです。』
(ジュベリアン、悪い。実はお前の心配通り、ここに事件を起こしに来たんだ。)
「じゃあ、行くか。」
マクスは立ち上がり呟いた。
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