引用:
皇女、反逆者に刻印する
あらすじ
人造人間「ホムンクルス」の反乱によって滅びたハーデルラミド皇室。第7皇女イヴは妹の裏切りによって1度は命を落としたものの、錬金術の力で8年前の世界で再び目を覚ます。 イヴが皇室滅亡の未来を変えるための方法―それは皇室を滅亡に追い込んだホムンクルスの王・ミカエルを自らの専属騎士にすることだった。 皇女と反逆者、前世ではすれ違ってばかりだった2人が向かう未来とは——!
本文
ロジーはイライラしていた。
(もう!第7皇女···! みんな頭がどうかしたんじゃないの? 今日は私の誕生日なのに···!
イヴお姉様は専属騎士と一緒に消えてしまって… 真珠貝の部屋に行ったんじゃないの?!)
「はあ、むかつく。」
その時ミカエルとアナイスが会場を離れるのを見つけ、ロジーは好奇心でその二人の後をつけた。
(あれ、アグニト卿ね。 隣の令嬢は···。どこに連れて行くんだろう? お姉様が指示したのかな?本当に真珠貝の部屋に行くのかしら。なんとまあ、 まさか。 三人で…!?あの人が?なんで急に 大胆になったの?専属騎士の刻印も、点検も私が先にしようとしたのに!こうなったら、邪魔でもしないと!!)
二人は真珠貝の部屋の前で止まり、アナイスだけ入っていった。
(ふーん。あの中にイヴお姉様がいるみたいね。アグニト卿は入らないようね。ふむ···。元々はイヴお姉様を邪魔しようと思ってたけど···。こっちの方がもっと面白そうね。)
悪巧みを考えたロジーは、部屋の外で待機しているミカエルに話しかけた。
「アグニト卿。」
「···第8皇女殿下に改めてお目にかかります。」
ミカエルは一人で出歩いているロジーを訝しげに見た。
(なんで一人なんだ?怪しいな。···初めて会った時から感じたけど、妙に不快なんだよな。)
「イヴお姉様が、その中にいるんですか?」
「一人で休んでらっしゃいます。」
(一人じゃないって分かってるけど、まあ···許してあげようかな??)
「一緒に入らないのですか? 専属騎士だけど?」
「第8皇女殿下こそ、ミロード卿と一緒にいらっしゃらないようですが。」
「しばらく一人で風に当たりに出てきたんです。」
「一人で歩き回るのは危険です。第8皇女殿下は尊い方です。 どうかいつもミラード卿をお側にお付けください。」
「そんなに心配なら、アグニト卿が私をエスコートしてくれればいいんじゃないですか?」
(忠誠誓いの儀式を行ったから、皇族の頼みを断れない。許可を得るため、皇女と小伯爵との対話を妨害もしたくもない…。)
「…喜んで。」
(ぞっとするような不快感だ。 皇帝に忠誠誓いの儀式を受けた時よりも、さらに…。一体なぜだろう。)
「アグニト卿?」
「···庭にご案内いたします、殿下。」
ーーー・・・
「ミカエル!ミカエル?」
(どこへ行ったんだろう?)
ミカエルを探していると、前方からミロード卿が歩いてきた。
「ミロード卿!」
「第7皇女殿下。」
「なぜ一人なの…?」
「第8皇女殿下を捜しているところでした。」
(なんですって…じゃあロジーがミカエルを連れて行ったのね…?)
「···どうやらロジーとアグニト卿は一緒にいるようですね。」
ーーー・・・
庭園にて。
「足が速いです、アグニト卿。」
「恐れ入ります。殿下。」
「口数がとても少ないのですね。」
「それも恐れ入ります。」
質問責めから解放され、ロジーがやっと黙った。
(ふう、とうとう終わったのか。)
しかしロジーはにやりと笑って言った。
「···アグニト卿、眼帯を外したお顔が見たいのですが。許可していただけますか?」
ロジーはそう言うと、ミカエルの眼帯に手をかけた。
↓ エピソード全話一覧はこちらです!(最新話から最終話まで)
www.picco-comic-netabare.work