引用:
お父さん、私この結婚イヤです!
あらすじ
皆に嫌われる悪女「ジュベリアン」。 愛した恋人からも、たった一人の家族であるお父さんにも捨てられ、寂しく死んでしまった悪役…。 そんなジュベリアンに生まれ変わったって? こうなった以上仕方ない。 お父さんのお金を思う存分使って、派手なお嬢さんライフを送ろうとしていたのに、 サイコパスな皇太子が私の結婚相手だなんて! それなら方法はたった一つ、契約恋愛だけ。 その相手はお父さんの教え子がいいだろうと結論を出した。 その男が皇太子であることも知らずに…。
本文
「人の誕生会で何の迷惑ですか。」
「まさかとは思いますが、故意に注目されたいのではないでしょう?」
「公女の性格なら有り得ますわ。」
そう陰口を叩く令嬢達の後ろから、ローズマリーが声をかけた。
「公女様が病気だったということは覚えていないようですね。」
「アルロ令嬢…。」
「見たところ、あの時のご病気がまだ全快されていないようですが···体調が悪い中でも私の誕生日の誕生会に来ていただいたのは、本当にすごいことだと思います。そうは思いませんか?」
「え、ええ…すごいことですわ。」
令嬢達は気まずそうに散っていった。
ーーー・・・
「そういえばフロエン公女は普段から体が弱かったですよね。 何度か倒れたりもしたと聞きましたが···。」
「なんだか顔色も悪いですよね。」
ミハイルはそんな会話を聞いて焦った。
(体が弱いって? それなら仮病ではなかったのか。あの時は、関心をもらおうと演技してるのだと思ってたのに···。)
ジュベリアンはミハイルに着いて歩くだけでも息切れして大変そうだったのを思い出した。
急にジュベリアンの事を思うと胸が痛くなった。
ーーー・・・
フロエン邸にて。
ジュベリアンのベッドの横にレジスが腰掛けている。
心配そうにジュベリアンの前髪をかき分けながら言った。
「数日は外出をひかえなさい。じゃあ、ゆっくり休め。 痛かったら、すぐに呼びなさい。」
そう言うと部屋を出ていった。
(…この頃どうしたんだろう。 昔はない人のような扱いをしてたのに···今さら娘に構うなんて···。私によくしてあげて何の得があるの···。あ、得があることはあるわね。 皇太子と政略結婚させるには···私の体が丈夫じゃないといけないから、そういうことなんだろうな···。)
(ミハイルと別れれば死から遠ざかると思ったけれど、父がミハイルの空席を皇太子で埋めようとは···。キツネを避けようとして熊に出会ってしまった状況ね!)
(絶対にダメ!このまま私の人生を終わらせることができない! お父さん···私は、この結婚しないので、見ててください!)
ーーー・・・
サロンブルームスにて。
マクスはことある事にジュベリアンの事を思い出していた。
アルロ令嬢の誕生会の日のことも。
(あの時もう少し近寄っていたら···。)
急に恥ずかしくなり、頭からジュベリアンの事を追い出した。
フレジアはそんな様子のマクスを見ていた。
(宴会から帰って来てからもっとおかしくなられた…。)
「…フレジア。」
「はい、主君。」
「君の名前で招待状を送って。 出会いの口実は勝手に決めるように。」
「?誰にですか?」
「ジュベリアンだ。」
「あ…。主君、フロエン公女は今大変みたいです。」
「どういう意味だ?」
「公女は···大人気になったんですよ。」
ーーー・・・
ジュベリアン宛の招待状が机に山盛りになっていた。
(人の誕生会で倒れてなんて奴だと噂されるはずなのに、急にどうして?工房の情報を共有したことが、イメージ刷新に役立ったのかな?はぁ···どうであれ、この宴会達はお断りね。体調が悪いからってみんな断らないと···。)
大量の招待状にぐったりしていると、メイドが伝えてきた。
「お嬢様!最初にお返事しなければならない急な手紙があると、執事さんが伝えてくれました。」
「そう?どんな手紙?」
すると一際豪華な招待状を見つけた。
(ヘレンド伯爵家···先王皇后陛下の母方の家系なんだ。父にたびたび手紙を送ってきた家柄だったようだが、私とは接点がないのに···。うぅ···!いくら急いでも今は返事を書く気持ちが…。この時間にも父は皇太子とのお見合いを進めているはずだけど···お見合いをしない何か良い方法はないかな。・・・うわああ!!ないよ!いくら考えてもないよ!今すぐ思い浮かぶのは···お父さんが認めるような男と···)
頭を抱えて考えていると、窓が叩かれた。
「俺だ···ドアを開けてくれ。」
ジュベリアンは面倒くさそうに窓に近づく。
(ちょっと待って、お父さんが直接行くことにしたのになんで家に来たの? ご飯をあげたからって、ずっとついてくる野良猫のようね・・・ん?待って・・・これだ!!!)
ジュベリアンは満面の笑みでマクスを出迎えた。
「いらっしゃい!!」
すると勢い余ってマクスの胸に顔をぶつけてしまう。
「いた!!」
「だ、大丈夫か…?」
「大丈夫です。それより···しませんか···?」
「何を…?」
「私たち、恋愛しましょう!」
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