引用:
お父さん、私この結婚イヤです!
あらすじ
皆に嫌われる悪女「ジュベリアン」。 愛した恋人からも、たった一人の家族であるお父さんにも捨てられ、寂しく死んでしまった悪役…。 そんなジュベリアンに生まれ変わったって? こうなった以上仕方ない。 お父さんのお金を思う存分使って、派手なお嬢さんライフを送ろうとしていたのに、 サイコパスな皇太子が私の結婚相手だなんて! それなら方法はたった一つ、契約恋愛だけ。 その相手はお父さんの教え子がいいだろうと結論を出した。 その男が皇太子であることも知らずに…。
本文
〜父の回想〜
今日の誕生会、最初は娘と平穏な一日を過ごそうと努めていた。
めんどくさいと思いつつ貴族の相手をし、適当にあしらっていた。
すると、ジュベリアンが外に行くのが見えた。
あの光景を見るまでは、しばらく休むのだろうくらいに思っていた。
ジュベリアンが外に行くのを見ていた人物がもう一人。
ミハイルである。
(ジュベリアン、人のいないところに行くなんて… これでは追いかけてきてほしいということじゃないか。 )
そう思いジュベリアンの後を追おうとすると、レジスが道を塞ぐように目の前に現れギロリと睨んできた。
その圧に負けたミハイルは悪態をつきながらも逃げていった。
しっぽを巻いて逃げるミハイルを見て、レジスは満足げに頷く。
(まさかこんなに汚らしい者だったとは。悪い虫が付かないようにしないと。娘が楽しんでいる宴会を台無しにすることはできない。)
その時外からジュベリアンの声が聞こえてくるのに気がついた。
(誰かと一緒にいるようだな。それも男だ。誰だ…?私の監視を避けたところを見るとかなりの実力者だな。そうだな。どの家の息子なのか後で調べても遅くないだろう···。)
その時、ジュベリアンの小さな悲鳴が聞こえた。
レジスはジュベリアンが毒で倒れた時のことを思い出し、真っ青になった。
そして急いで外に向かった。そこにはジュベリアンとマクスが近距離で向かい合っている姿があった。
(あいつは………マクス!!!!)
昔の事を思い出すレジス。
『ありがとうとは言いません。あなたが俺を弟子にしてやると頼んだのだから。』
剣術の実力を除けば偉そうな態度で、暴悪極まりない皇太子。それでも奴の未来と先皇后の頼みで引き取ったのだ···。
(それでもあえて···ジュベリアンを狙うのか…?)
そして現在に戻る。
「大丈夫ですか、お父さん?!」
ジュベリアンは、怒りのあまり持っていたグラスを握りつぶし、手を怪我しているレジスに駆け寄った。
レジスは心配してくれたのが嬉しくて、少し笑った。怒りは少し収まったようだ。
「ジュベリアン。詳しくは後で聞くよ。とりあえず中に入ろう。」
するとマクスが声をかけてきた。
「お前、足怪我したみたいだけど···。」
「君が気にすることじゃないから心配するな。私の娘だからな。」
するとレジスはジュベリアンをお姫様抱っこした。そして振り返り、マクスに冷たい視線を送る。
「これからは私が行くから屋敷には来るな。 」
(ちょっとやそっとのことでは動かない方がこんなに気にするなんて。 お父さんは弟子をとても大事にしているね。)
ジュベリアンはまた的外れな事を考えていた。
先程レジスに『私の娘だから』と言われたことに嬉しく思ったが、物語の結末を思い出し、期待しないよう自分に強く言い聞かせるジュベリアン。
ーーー・・・
ジュベリアンはレジスに抱かれたまま会場に戻ったので、周りがざわざわとしている。
「お···お父さん? もう降ろしてくれても良いですが···。」
「足を怪我したのに無理することは無い。」
(お父さん···そうじゃなくて···恥ずかしいから降ろしてください!!)
ジュベリアンはレジス腕の中で頭を抱えた。
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