引用:
お父さん、私この結婚イヤです!
あらすじ
皆に嫌われる悪女「ジュベリアン」。 愛した恋人からも、たった一人の家族であるお父さんにも捨てられ、寂しく死んでしまった悪役…。 そんなジュベリアンに生まれ変わったって? こうなった以上仕方ない。 お父さんのお金を思う存分使って、派手なお嬢さんライフを送ろうとしていたのに、 サイコパスな皇太子が私の結婚相手だなんて! それなら方法はたった一つ、契約恋愛だけ。 その相手はお父さんの教え子がいいだろうと結論を出した。 その男が皇太子であることも知らずに…。
本文
(家に帰りたい。 あくびすると涙が出るな···。)
マスクが見てるとも知らず、なんとも呑気なジュベリアンである。
「なんで泣いてるんだ?」
マスクは耐えきれず、木の上から飛び降りてジュベリアンの前に立ち、問いかけた。
(あ···父の弟子? あなたがどうしてここにいるの?)
「あの···ここはどうやって···。」
ジュベリアンの問いかけを無視し、マクスはジュベリアンの顔をよく見るため近づいた。
「どういうことか分からないけど···泣くな。まさか、誰かにいじめられたのか?言えよ。どんな奴らだ。」
「誰がいじめたら怒るつもりですか?」
「そうだな。お前を助けると約束したから。」
(平民がタメ口で下克上の罪を問い極刑に処するのに、まして貴族に武力行使だなんて···。あなた、死ぬわよ…。)
「私を助けたいのですか? では、まず···タメ口から直しましょう。 特に人前では、必ず敬語を使います。」
「···な、何て? なんで?俺が…。」
「言葉はどうするかによって、敵を作ったり味方を作ったりします。特に貴族は言葉に敏感です。 身分制度が廃止されればともかく、そうではないので周りの視線を意識しようということです。そしてあなたが私を尊重してくれれば、他の人も私を尊重するんです。 分かりましたか?」
「・・・分かった。」
(素直ね、かわいい…。)
「ところで、誕生会には何かご用ですか。」
「あぁ…仕事で。」
マクスはごにょごにょと答え、話を変えた。
「そういうお前こそ、どうしてここにいるんだ? お前のパートナーは何をしているんだ?一人で残っているのか?」
「お父さんは今会場に···。」
「先生?親戚とパートナーになることにしたんじゃなかったのか?」
「まあ···なんだかんだでそうなりました。」
ダンスの演奏が会場から聞こえてきた。
するとマクスが手を差し出してきた。
「どうして手を出しているんですか?」
「見て分からないか?ダンスの申し込みをしているんだ。」
「そんな、踊り方知ってますか?」
「光栄にも知っている。私は誰とも踊らないが。」
「…はい、光栄です。」
あまり見ないマクスの笑顔に、ジュベリアンは顔を赤くし照れた。
マクスのダンスがなぜ上手なのか考えながら踊っていたせいか、ジュベリアンは転びそうになる。
「危ない!集中し…」
マクスがすかさず抱きとめると、思ったよりも二人の顔の距離が近くなってしまい、キスをするつもりがなかったのに、どちらかともなく二人の唇は近づいていく。
「今すぐ離れろ!!!!!!!」
声の方を見ると、こめかみに青筋を立て、絶対零度の表情で二人を見てるレジスがいた…。
「何をしているんだ…?」
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