引用:
姉が男主人公を拾ってきた
(本文)
「ノクス、ダメ!」
「どうして?どうして? エイミー···。あの人は悪い人だから···エイミーを脅したんだ。だから僕は…。」
「しっかりして、ノクス!」
エイミーはノクスの腕を強く掴んだ。
「!」
「何を言ってるのかは分かるわ···。 でも、違う。 これでノクスの手を汚さないで。…ノクス。」
「···わかった。エイミーが嫌がることは···したくないから。」
「ありがとう。びっくりしたわ。ノクスが心配で···。」
エイミーはノクスをしっかりと抱きしめた。すると男の様子が
「クハアアッ!! あああっ!!! 」
「 何···何?!」
「イベルク…大公。」
(急に様子がおかしくなった···!!!)
「ノクス、こっちに来て!…わぁ!」
伯爵は剣を中に浮かせて操り、エイミーの方に向けてきた。
「きゃああ!!」
「エイミー!!!」
(剣が···大理石の床に突き刺さった···?)
エイミーが呆気に取られていると、もう目の前に伯爵が迫っていた。
「いやあ!!」
ノクスはエイミーを守るようにエイミーの前で両手を広げ言った。
「今すぐエイミーから……離れろ!!エイミーは…。 僕が守ってあげる…。 僕が…」
そう言うとノクスは力尽きたかのように倒れてしまった。
「ノクス!!」
エイミーはノクスを抱き上げる。
(体が氷のように冷たい···! まさかこれ···暴走の前触れなの···?)
「ノクス、しっかりして!」
(リノクが子供の時は起きなかったことなのに···なんで···!)
そうしている間に、倒れていた伯爵がまたこちらに向かってきた。
「ぐ…ああ…!」
「!!助けてください!誰かいませんか?」
伯爵が目の前に迫り、もうだめかと思ったその時。
「ぐああああ!!!」
「やっぱり···魔法的刻印のようですね。 大丈夫ですか?」
(大公家の騎士団がなぜここに···。)
「閣下!こんな···!!」
「ロッテさん、ノクスが···。ノクスがいきなり···!」
「分かっています。ベイカー!」
「はい、お任せを。」
ベイカーが呪文を唱え始めると、ノクスの顔が穏やかになった。
「だから今すぐ薬を飲まないといけないと言ったではありませんか。」
(それがこれだったの? えっ?まさか···。)
「まず閣下を部屋に案内しましょう。」
ーーー・・・
ノクスをベッドに寝かせると、ロッテが話しかけてきた。
「もしかして魔法的刻印を知っているのですか。」
「魔法的刻印ですか?」
「はい。体のどこかに印をつけておくことを刻印といいますが、この刻印はたいてい2、3の魔法を含んでいます。普通、閣下を襲撃する人に刻まれているのは、洗脳魔法と催眠魔法です。特にリポルテント伯爵のように首筋から発見された刻印は、客を装って閣下を襲撃するように強制的に刻まれたという意味です。」
「そうなんですね。ノクス…。」
(こんなうれしくない客···いや、招かざる客がどれほど多く訪れたのだろうか。危なくない所はどこにもなかったのね…。)
「…エイミー。」
「あ···ノクス! 起きた?…どうしたの?」
「エイミー·············僕が怒って、怖くなった?僕が怖い?」
「いいえ。私はノクスはおかしいと思わないし、怖くもないわ。ノクスが怖いわけがないでしょう。」
不安そうなノクスに、エイミーは安心させるように優しく言った。
するとノクスはすぐ元気になったようだ。
「エイミー!図書館に行きたい。 エイミーにオオカミの本! 読んであげたい。」
「ノクスが見せてくれるのは嬉しいけど、もう少し休んでから行こうか?」
「いや、今行きたい! エイミーに早く見せてあげたいんだ······うぅ…。」
「ノクス!?大丈夫!?」
「先ほど薬を飲んだので、眠っただけです。 暴走直前でしたからそんなに早く動くのは無理でしょう。」
「あ···そういうことなら良かったです···。」
すると、ロッテが訝しげな顔でエイミーに言った。
「お嬢様は、一体どういうつもりなのですか?」
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