あらすじ
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた! アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。 そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。 その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。 アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。 最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
(本文)
(銀色の髪の毛…。)
「来たな。リシェル・ペデリアン。」
「首長にお目にかかります。」
「ずいぶん久しぶりだな。相変わらず殴ってやりたい顔だな。」
「殴りつけたくなるような顔をするなら君には負けるよ。鏡を見ろと言ってあげたいな。」
「そういえば一緒に来たんだってな。お前の娘も。ペデリアンの中で囲っていたのに、どういうわけか今度は外へ連れ出したようだな。」
(本当に趣味が悪いわね。 カシスの一件以来、シルビアをさらに保護しているリセルをからかうとは…。全部自分で仕組んだことなのに。 でも···原作と違って彼は生きているから。)
「そういえば、青の貴公子様は今年も一緒にいらっしゃいませんでしたね?」
「他の公務で忙しくて遅れるそうだ。」
「去年もそう言ってなかったか?そういえば、君の息子の偉そうな顔を見なくなって3年が経ったな。一体どれだけすごい公務なんだ?」
「そうですか。遅れるなんて。では期待して待ってます。」
「俺も期待してるよ。今度の和合会では君の大事な息子にまた会いたいからな。」
「死んで生きられないのに、奴をどうやって連れてくるっていうんだ。いつまであんなに見栄っ張りでいるのか。」
「でも嘘をつく姿が面白いじゃないですか。」
ーーー・・・
「あら、青の犬とジョンに似てるわ!」
「癪に障るな。」
きゃっきゃしているシルビアを見て、ジェレミーはうるさそうにしている。
「小説と違ってシルビアへの評価が変わったわね。」
(ジェレミーもシルビアが気になって宴会場に行ったらしいけど、現実のジェレミーがシルビアに惚れて彼女を拉致することは起こらないでしょうね。)
ーーー・・・
真夜中、ロクサナは外に出ていた。
「ありがとう、もういいわ。やっぱりここで毒蝶を長く使うのは大変だな。」
会場に毒蝶を忍ばせておいたロクサナ。
(宴会場に忍ばせておいた毒蝶に聞いたところ、今日はシルビアが主役だったようね。月明かりのような髪と星明かりのような瞳…。)
『ロクサナ、私はこれが最後だとは思わない。 だから挨拶は次回にする。』
あの夜の、カシスを思い出す。
(その時まで無事でありますように。)
「昼間はあんなに暖かかったのに···厚いコートを着てくればよかった。」
(あそこは…リシェル・ペデリアンの部屋。今は4時を過ぎたのに、このまま徹夜するつもりなの?もちろんこの時間に外に出た私が言うことではないけれど。)
「まだ死なずに生きていたいな。」
ふと近くの木に目をやると。
(去年飲んでいた毒草…。もちろん毒草といっても腹痛を引き起こす程度だけど。)
「見慣れないところで見慣れたものを見たからか、ここにいると安心するわね。」
本来なら、ヒロインのシルビアが18歳の小説が始まった時点だ。
ラント・アグリチェが、生きているカシスを見たらどんな表情をするか楽しみね。 その驚いた顔を見るのがどんなに面白いだろうか。
そう思いをめぐらせていると、後ろから人の気配がした。
(真っ黒なローブ… まさかデオン?)
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