アラサーOL、マンガを翻訳する

悪役の救い手(韓国漫画)にどハマりした、アラサーOLによるネタバレ・翻訳ブログです。

(ネタバレ・翻訳) 「悪役の救い手」 31話

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引用: 悪役の救い手

 

(本文)

 

アゼフ「ジェイ、今日もとても美しいですね。」

 

にこやかに言うアゼフの後ろにいるティロシュが、震えていることに気が付くジェイ。

 

ジェイ「ティ・・・ティロシュさん?」

 

アゼフ「この方はどこかがすごく痛いみたいです。しきりに変なことをおっしゃいます。」

 

何も言えずに震え続けるティロシュ。

 

ジェイ「どうしましたか?顔色がよくないみたいですが、お医者様を呼びましょうか?」

 

アゼフをちらりと隠し見たティロシュは、その冷酷な笑みにさらに顔色を悪くする。

 

ティロシュ「あ・・・いえ、私は大丈夫です。」

 

アゼフ「ティロシュ嬢?本当に大丈夫ですか?どこか不便なら私たちの侍女を呼びましょうか?」

 

気遣うフリをするアゼフに、真っ青な顔をするティロシュは急ぐようにその場を去った。

 

ティロシュ「大丈夫です、私はもう行かないといけないので失礼します。」

 

その後ろ姿を見ながらジェイはティロシュを心配そうに見つめた。

 

ジェイ「送った方がいいのでしょうが、大丈夫でしょうか。」

 

アゼフ「一人で来たわけでもないでしょうし、大丈夫だと思います。それよりジェイ、早くこっちに来てください。」

 

ティロシュが気になりつつも、アゼフに手を引かれ、馬車に向かう。

 

ジェイ「あ、シア。後ろの馬車に乗ってついてきてくれる?」

 

シア「はい、お嬢様。」

 

 

―――馬車の中

 

アゼフ「やっと・・・あなたと二人きりになれました。あなたに会えなかった二日間悪夢にうなされて、一睡もできませんでした。とても疲れました。」

 

アゼフは甘えるようにジェイの肩に寄りかかった。

 

ジェイ「競技に参加しなければなりませんが・・・大丈夫ですか?着くまで寝ててください。到着するまでかなり時間がかかるでしょうから。怪我した肩はもう大丈夫ですか?」

 

アゼフ「はい、治りました。しかし浄化も兼ねて気分転換が必要です。やってくれますか?」

 

ジェイの手にそっと自分の手を重ねながら、ジェイの目を見つめるアゼフ。

 

ジェイ「浄化ですか?それはどうやるんですか?」

 

すると、付けていた手袋を外し、ジェイの首に手をかけようとするアゼフ。

 

ジェイ「なん・・・どうしたんですか?アゼフ、ふざけないでください。」

 

アゼフ「冗談?僕が?間違えてますよ、ふざけてるんじゃなくて、あなたを誘惑してるのです、ジェイ・・・。」

 

 

ジェイ「・・・そんなことしないでください。」

 

アゼフ「僕が何をしましたか?まだ何もしていません。」

 

ジェイ「でも、あまりにも急で・・・。」

 

壁際に追いつめられたジェイは思わず赤くなり、うつむいた。

そんなジェイを許さないかのように、顎を掴み、上を向かせるアゼフ。

 

アゼフ「避けないで、私を見てください。その唇に触れたい・・・いいですか?」

 

ジェイは真っ赤になりながらアゼフから目を背ける。

 

アゼフ「したいのに、してはいけないのですか?」

 

ジェイ「そんな風に言わないでください。」

 

追いつめられ、またうつむいてしまったジェイを見て、アゼフは少し悲しそうな表情をした。

 

アゼフ「だめ?」

 

ジェイ「まだ少し、怖くて・・・怖いんです。」

 

アゼフ「分かった。ジェイが嫌なら、やらない。」

 

アゼフはそう言って、安心させるようにジェイの頭を撫でながら、離れていく。

ジェイはほっと息を吐いた。その時。

 

 

ジェイ「!?!?!」

 

声にならない悲鳴をあげて、キスされた頬を押さえながら、ぱっとアゼフから離れる。

 

そんなかわいい反応を見て、思わずジェイを抱きしめるアゼフ。

満足そうにジェイの肩にあごを乗せながら呟く。

 

アゼフ「はあ~、生き返った。今朝は最悪でした。」

 

ジェイ「・・・なぜですか?何かよくない事があったんですか?」

 

アゼフ「分からない。ずっとイライラしておかしくなりそうだったのに。あなたといるとよくなりました。」

 

(嫌な記憶すべてが私の錯覚かのようだ。僕は君が本当に好きみたいだ。ジェイ・・・。)

 

ジェイはアゼフの腕の中で顔を赤くし、されるがまま、馬車は進んでいった。

 

→次回「悪役の救い手」32話へ